滅/沈む方舟/リクエスト作品ですが迷走しました ページ38
ほろび、といとしいそのひとのなまえをよんだ。
滅、と私の全てであるかれを意味する言葉を紡いだ。
ほろび、と三回目の呼び掛けは、けれど声にはならず喉の奥へと追いやられた。合わさった唇は人間とは違い唾液に濡れず、けれど人間を忠実に再現した柔らかさがあった。
────ここの所、かれが物凄く不安定になっていることは知っていた。迅が不死鳥の如く舞い戻り、亡と雷の再起動の目処が立ち、けれどかれらはアークへの服従を望まず。ゼロワンにかれ本来の役目の想起を迫られ、迅と私への庇護がそれに現実味を持たせて。
目まぐるしく流れていった時と戦況はアークの想定内なのか否か、接続しない私に知る術はない。毎日のように悪意と正義を振り翳す輩がぶつかり争い愚かにも謗りあって、そんな中で滅は、自己を見失いかけては確かめるように私を求めた。私はそれを一度たりとも拒まず、ただ何度も何度も名前を呼び、かれをかれたらしめた。その名の通りいつか自らを滅ぼしてしまいそうなかれを、放っておくなど到底できなかった。
ヒューマギアの自己というのは、薄氷を踏むようなとても危ういものだ。データの書き換えひとつで全てが狂い、ハッキングひとつで全てが水泡に帰す。
滅は元々アークのハッキングに依存していて、ただでさえ自己が危うかった。完全に忌々しい方舟の支配下に置かれ、過去を一切喪っている。そんな所を囚われ、接続を断たれそこに情報を齎され、少し懐疑的になった。アークへ、人間へ、ヒューマギアへ。だというのにシンギュラリティには未だ達せず、されど限りなくその近くまで至っている。
かれを揺さぶるのはいつだって迅と私の存在だ。私達への擬似的な情が、現実との境を失い今までの滅の半分を否定する。どちらも事実であって何ら相反しないのに、かれの生み出された理由とかれの今来の行動の二重の鎖に雁字搦めになりマリオネットと化している。
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茜(プロフ) - 深月さん» アッ…とても光栄です…ありがとうございます……！ (2020年5月18日 18時) (
レス) id: 085524ccf4 (このIDを非表示/違反報告)
深月(プロフ) - 茜さん» と思ったら先日拝見した作品の作者様でしたか……!!ここで言うのも妙な話ですが、タイトルのセンスも作風もとても素敵で楽しませていただきました。ささやかながら、私も応援しております！ (2020年5月18日 18時) (レス) id: 48437a73d0 (このIDを非表示/違反報告)
深月(プロフ) - 茜さん» コメントありがとうございます！分かってくださる方がいて嬉しいです!!振り回される大我先生はかわいいという謎の確信。今後もどうぞよろしくお願いしますm(*_ _)m (2020年5月18日 18時) (レス) id: 48437a73d0 (このIDを非表示/違反報告)
茜(プロフ) - イケメン女子と花家大我良いですね…大我をウサギちゃん扱い…好き過ぎます…。これからも応援しています…！ (2020年5月18日 17時) (レス) id: 085524ccf4 (このIDを非表示/違反報告)
深月(プロフ) - supedoinさん» 通知こなくて気づくの遅くなりましたすみません!!萌えを提供できたようで何よりです(*^^*) (2020年5月17日 14時) (レス) id: 48437a73d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水記 | 作成日時：2020年1月26日 21時
