浅倉威/Happy Birthday!!/リクエスト兼誕生祝い ページ27
四月十日。その日付を聞いて、人々は何を思い出すだろうか。女性の日、駅弁の日、ヨットの日……世界は日に日に変化していき、それに比例して記念日は増えていく。誰がどんな想起をしたって驚きはしまい。同時に、どんな関心さえも持たないだろう。
何故なら私にとって四月十日は、永久にたった一つの意味しか持たないからだ。浅倉威という人間がこの世に誕生した日。私が心底から愛する男が二十五年前世界に牙を剥いた日。それを超える意味などある筈がない。
そして、今日こそがその四月十日なのである。一体全体祝わずしてどうしろというのか。
とはいえ奴自身はそういうのを諸手を挙げて喜ぶタイプじゃないし、パーティー帽にクラッカーだなんてどう間違っても似合わない。仲良しこよしでお歌だなんて馬鹿馬鹿しいにも程がある。北岡が聞けば抱腹絶倒間違いなしだ。
祝うと言ったって、せいぜい言葉を贈りケーキを渡すくらい。たったそれだけ、でもだからこそちゃんとやりたい。世界で私くらい、殺人鬼の誕生日を祝う酔狂な女が居たっていいだろう。
……と、そんな経緯からケーキの箱を右手に提げてのこのこ基地へとやってきた訳だ。
「浅倉、居るか？」
内部へと続く階段を駆け下りながら気楽に声を掛けた。玄関扉さえもない、廃墟と言えばいいのか建物と言えばいいのか分からない、プライバシーの片鱗もない、ここはそんな場所だ。念の為入室を知らせるくらいの最低限の礼儀は持ち合わせている。……こんな辺鄙な場所を覗く物好きは私を除いて居る筈もないから、あるといえばあるのかもしれない、と遅れて気づいたけれど、まあ些細な問題だ。
「A。戦いに来たのか」
蛇のようにするりと現れた浅倉は、早くも戦意に目をギラつかせていた。右手に強く握り締められている鉄パイプが物騒極まりない。
できれば振りかざされたくない代物だ。一般的な感性を持ち合わせる人間ならそう思うことだろう。しかし生憎私にとっては日常茶飯事なので最早気になりもしない。女だからと手加減する奴じゃないが、私に予告なしに襲いかかることなんてどうせ滅多にないし。
「ちげえよ」
と取り敢えず怯まずに一刀両断、勝手知ったる態度で奥のソファに腰を下ろした。スプリングが各所から飛び出しボロボロだが、本来の用途に応えられるくらいには形を保っている。見た目に反してぼふっと体が沈んだ。
「なら何の用だ」
興を削がれはしなかったのか鋭く切り返される。
「用がなきゃ来ちゃいけねえか？」
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茜(プロフ) - 深月さん» アッ…とても光栄です…ありがとうございます……！ (2020年5月18日 18時) (
レス) id: 085524ccf4 (このIDを非表示/違反報告)
深月(プロフ) - 茜さん» と思ったら先日拝見した作品の作者様でしたか……!!ここで言うのも妙な話ですが、タイトルのセンスも作風もとても素敵で楽しませていただきました。ささやかながら、私も応援しております！ (2020年5月18日 18時) (レス) id: 48437a73d0 (このIDを非表示/違反報告)
深月(プロフ) - 茜さん» コメントありがとうございます！分かってくださる方がいて嬉しいです!!振り回される大我先生はかわいいという謎の確信。今後もどうぞよろしくお願いしますm(*_ _)m (2020年5月18日 18時) (レス) id: 48437a73d0 (このIDを非表示/違反報告)
茜(プロフ) - イケメン女子と花家大我良いですね…大我をウサギちゃん扱い…好き過ぎます…。これからも応援しています…！ (2020年5月18日 17時) (レス) id: 085524ccf4 (このIDを非表示/違反報告)
深月(プロフ) - supedoinさん» 通知こなくて気づくの遅くなりましたすみません!!萌えを提供できたようで何よりです(*^^*) (2020年5月17日 14時) (レス) id: 48437a73d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水記 | 作成日時：2020年1月26日 21時
