トリプルSな夢を見せて

バッドエンドなハッピーエンド（Shori.s) ページ17

『俺は今、ここで


貴女との婚約破棄を告げよう！！！』


目の前で怒りに満ちた目で私に婚約破棄を告げる婚約者。

その隣には、可愛らしい少女が私の婚約者の隣で怯えた表情を………だけど、目だけはしっかりと笑いながら私を見つめていた。


そして私はというと………


(ヒロイン補正強すぎぃ！！！)


なんて、心でしょうもない………いや、今の状況的にはしょうもなくないことを叫んでいた。


前世は平凡なOLだった私が、うっかり事故にあって気づけば生前やりこんでいた乙女ゲームである『セクシーローズの甘い時間』の世界に転生していたことを知ったのは数年前の事。


ただ転生するならヒロインが良かったけれど、残念ながら私が転生してしまったのはヒロインを陥れようとする悪役なのだ。


私こと、Aはヒロインに立ちはだかる悪役で今目の前で私を睨みつけている王子様の婚約者なのだ。


ちなみに、このゲームはこの悪役断罪イベントの後にヒロインと王子の結婚という、ヒロインにとっては華やかなハッピーエンドなのだけれど、悪役は国外追放でその後が分からないのだ。


だからこそ、その事実を思い出した私は何とかバッドエンドにならないようにと色々頑張ったのだけれど、悲しいかなヒロイン補正がめちゃめちゃ強すぎて、あれよあれよと断罪イベントに突入してしまったのだ。

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