トリプルSな夢を見せて

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『まあ他にもあるんだけどさ、極めつけは今回の出来ちゃったことよね


アンタもうすぐ就職するって決まってたじゃん

だけど、その就職前に妊娠発覚して今回結婚する流れになったって言ってたじゃん


おかしいと思わない？
いくら百パーじゃなくてもさ、普通につけてたらほぼ出来ないしアンタ阿部先輩もちゃんとつけたのにって言ってたじゃん？

それ、ちゃんとよく見てた？
アンタのことだから恥ずかしがって目逸らしてたかもしれないけど、穴とか開いてたんじゃない？


阿部先輩が、アンタを逃がしたくなくて

アンタ最近、同じ就職先予定の目黒君に告白されたって言ってたじゃん

もしかすると、阿部先輩それ知ったからアンタを同じ職場にさせないためにこうしたのかもね』


そう言って、友人はグッとお酒を飲み干すと眠いから帰るってまだ固まっている友人を引きずって帰っていった。


私の左手には、亮平から貰った婚約指輪が光っている。

亮平はお腹の子供も、それから私もまとめて絶対に幸せにするからと言って、これをハメてくれた。


その時はすごく嬉しかった。


だけど今、この左手の薬指がすごく重く感じる。


私の知らないところで、亮平はどんどん外堀を埋めていったのだろう。


私が亮平の所から逃げないように


『ただいま』


いつのまに帰ってきたのか、スルリと亮平が私を後ろから抱きしめてそっとお腹を撫でてくる


「ねえ、亮平………」

『ん？何？』


聞きたいことは沢山ある。

私の元カレに浮気相手を仕向けたのは亮平なの？とか

今回の事も沢山聞きたいことだってある


だけど………


「なんでもない、おかえりなさい」

『うん、ただいまA』


私はその聞きたいことに目を逸らして、亮平に抱き着いた


だって、この外堀が固められた世界が何故だか愛おしく思えてしまっているのだから………


(外堀を埋めることはとても大事だからね)


おしまい。

ヤンデレ風な阿部ちゃん大好きです

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