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「……ふあ」


たった今、お目覚めになった小さき命は

小さな手で目を擦りながら、大きく酸素を取り入れた。


「……おはよう」

「む……おはよう」


遂に意識を取り戻してしまった小さき命を前に

パニックになりそうになり、とりあえず朝の挨拶をしたら

目をシパシパさせながら、ちゃんとお返信を頂けた。


可愛い。


「ねえ貴方、お名前はなんて言うの?」

「……なまえ」

「そう、お名前」

「……む」

「……?」


お名前は?という些細な質問に

頑なに答えようとしない小さき命。


いつまでも小さき命なんて

呼ばせるつもりなのかしら。


「お名前、教えてくれないの?」


私の呼び掛けに対してむむ、と

眉間に皺を寄せる小さき命。


「……なまえをきくときは、」

「うん?」

「なまえをきくときは、まずは、自分からなのるべき、なので!」


さっきまでのふにゃふにゃ顔はどこへやら

きゅるきゅるの目にキッ!と力を入れて

当たり前だろう、と表情で訴えてきた。


……これは、これは


「……大変、失礼いたしました」

「うむ」



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作者名:御伽草子 | 作成日時:2022年7月3日 0時

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