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不幸なのか幸いなのか、今日は珍しく
けたたましいアラームが鳴り響く前に目を覚ましていた。
もしあの音が鳴ったら確実にこのちいさき命は
目を覚ましていたし
泣き出していただろう
そして寝起きの私も(間違いなく大号泣である)
「……やるしか、ないよね」
起きてからかれこれ数十分
もしかしたら1時間弱が経とうとしている今
私は次のステップに進もうと
自分を奮い立たせていた。
そして遂に、一言
「……もしもーし」
起きてから、水すら飲みに行かなかったため
(正確には、行けなかった)
信じられないくらいハスキーなボイスで
その命に語り掛けた。
「……」
……相手は、どうやら電波が悪い山奥
もしくは通信制限の地を彷徨っているのかもしれない。
「……もし、もしもーーし」
「……」
「もしもし、もし、もしー!」
「……」
挫けず、話しかける
もしもしの区切り方が、歴史で習うアメリカの偉い人
みたいになるまで、色々な角度からアプローチした。
とろけるおもちみたいなほっぺたを、ぷに
ぴょろぴょろ、と
気を引くように揺れる触覚を、ふに
結果、振るわず。
「……Aコールセンターは、ただま今から
無期限で活動を休止致します……。」
はああ、と項垂れ
ふと時計を見るとぴったり、7時。
すると
「……ん、」
「……!」
二つのスレートグレーがゆっくりと
朝の日差しを取り込んだ。
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作者名:御伽草子 | 作成日時:2022年7月3日 0時