雪男の紅一点【深澤辰哉】-2-

Part2 ページ8

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__渡辺side


まだまだ聴いていたいと思うこの歌声に、俺は昔嫉妬して今ほどAを可愛がることができなかった。
それでもAは、俺の厳しい一面に惹かれて。
自惚れるようだけど、憧れて、俺を追ってきてくれたから、嫉妬から高め合うライバルになって、今はただただ愛おしい妹になった。

〜〜

『溢れ出す夢を』

『叶える日まで』

〜〜

『Here rise』

『あぁ、眠らず夢見た水平線

ナミダの途切れた その向こうへ、今！(ソロ)』

『ああ、しょっぱいぜ！ナミダの海越えて

無理難題な夢をまた見ような

風に走れ 汗かいて 転げて その身を焦がせ

失敗の数だけ増えようが

間違いだなんて誰が笑えようか？

雨に打たれ 泥飲んで 踏まれて 花咲かせ！』

〜〜

『訪れるまで！』

〜〜

『Everybody clap!! Everybody stomp!! Everybody scream!! Oh....yeah!!』

〜〜


『おにぃ〜〜！！！』

渡「お疲れ様。めっちゃ良かったじゃん。」

『本当！？でもさ、ここがさ……』

どんな時でも、気になる部分があれば、納得のいくところまで突き詰める。
レコーディングが終わって、OKが出ても、納得がいかなければ何度でも撮る。

『よしっ！もう一回してくる！』

渡「行ってこい！」

『すいません！もう一度、ここのレコーディングをしたいんですけど……』

スタッフ「ここね、良いよ〜！気が済むまで録音しよう。」

『ありがとうございます！！』

スタッフ「他のメンバーの声、聴いてみる？」

『え、聞きたいです！』

最初はこのストイックさも、スタッフからは受け入れられなかったA。
それでも、影の努力とめげずに続けた結果が、こうして報われてスタッフからも、暖かい言葉をかけてもらえるようになった。

渡「……すいません、俺も一緒に聞いて良いですか？」

『おにぃ、どうしたの？』

スタッフ「ははっ！本当に仲が良いね〜。渡辺くんも撮り直ししたい？」

渡「、、はい！やらせてください！」

『ふふっ、あはははっ！！おにぃもやりたかったの！？なんだよー、なら1人じゃないから、もっともっと頑張れるなぁ〜。笑
ありがとね、おにぃ！！』

渡「おま、、本当に、俺はAの将来が心配だよ…。」

『ぅえ！？な、なんで！？』

スタッフ「苦労してんなぁ〜、渡辺くんも。笑笑」

『え、なんで！？え、え！？』

渡「まぁ、それも含めて俺の妹は可愛いんすよ。」

プリプリと怒るAを可愛がり、2人でもう一度撮り始めた。

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