fireworks＊２ ページ7
俺の取ったヨーヨーをご機嫌でポンポンつきながら、
『次はどうしよう』
と、気が乗ってきた様子の彼女。
と、彼女の足が止まる。
「え、どうしたの」
俺の後ろに隠れ出す。
『あ、いや、ちょっと。友達いた』
…俺といるとこ見られたらまずい？
「どの人？」
『あの、前から来る赤い浴衣の子』
なんで、そんな、隠れんだよ。
『ちょっとてっちゃん、別々で歩いていい？』
彼女の言葉に
思わず手を取り、歩き出す。
『えっ、ちょっと、』
つかつかと歩いていく。
「あ、A。え、彼氏！？」
驚く友人に
「こんにちはー。」
とすれ違いざまに笑顔を返す。
俺は、堂々としたいから。まあ、彼氏じゃないけど。
しばらく歩いて行ったところで
彼女の息が上がっていることに気付いて立ち止まる。
『はぁ、てっちゃん歩くの速い…てか、もう！』
嫌われたかもしれない。
急に冷静になって、
手を掴んでいたことに気付いて慌てて離す。
「ごめん」
『…ううん』
「嫌だったね」
『いや…恥ずかしかっただけだから…』
なぜか顔を赤くする彼女に、俺はさらに勘違いしそうになる。
「ねぇ、A」
今なら伝えられるかもしれない。
「俺さ、」
『うん…？』
「Aが、す」
ドドーン！！！
『あっ、花火』
いや…タイミング…
「…ここ全然見えんやん」
『てっちゃんがこんなとこまで連れてくるからだよ』
「見えるとこまで戻るか〜」
『えぇ、疲れたのに…』
そう言いつつ、元来た方を向く。
なけなしの勇気で、
「はぁ〜あ」
とか言ってごまかしながら
彼女の手を握る。
『…ため息つかないでよ〜』
困ったように笑った彼女は
優しく俺の手を握り返してくれた。
花火が見えてきた。
すごく、胸に響く音だ。
『てっちゃん、浴衣似合うね』
今更な不意打ちに胸が高鳴る。
「Aも、似合ってる。
…可愛い。」
下駄の音が響く。
「…なんでオレンジの浴衣にしたの？？」
『…だって、てっちゃんが』
彼女の言葉は花火の音にかき消されて聞こえなかった。
これが、俺の今年の夏。
〜END〜
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 25人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りぼんむすび(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» ありがとうございます！！楽しんでいただけて嬉しいです(≧▽≦) (2020年9月21日 22時) (
レス) id: 55c9620158 (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - いつも楽しく拝見させていただいてます！禁止じゃなく控えめっていう橙さんが愛しすぎてコメントさせていただきました！なかなか送信できない恋愛下手な感じもキュンキュンしちゃいます！これからも更新待ってます！応援してます！！ (2020年8月30日 3時) (レス) id: 534e341e06 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りぼんむすび | 作成日時：2020年5月24日 17時
