はじまり＊２ ページ33
頷くだけで精一杯。
と、また電車が揺れ、距離が縮まる。
鼻先を甘い色気のある香りがかすめる。
余裕のない心の中で、現実じゃないだろうという自分と、いい匂いだな…とニヤけそうになる自分が入り乱れている。
「どういう顔？(笑)」
と、ツッコまれる。
ある駅に着いて、
「俺降りるけど、話でもする？」
と尋ねられ、とっさに頷いてしまった。
ドアが開き、人の流れとともに下車する。
見知らぬ駅にキョロキョロすると、
「こっち」
と呼ばれ、後をついて行く。
歩きながら、未だ喋られずにいる私に喋り掛けてくれる。
「いつもは車なんだけどさ〜、今日は足がなくって」
「俺の顔見て驚いてたから、知ってるのかなって思った」
緊張で話が耳に入らず、ただ、車道側を歩いてくれてるなとかそんなことばかり考えていた。
「ごめん。俺ばっか喋ったわ」
謝られ、顔を見上げる。
「そろそろ声聞かせて(笑)」
俺らのこと好きじゃないのに連れてこられて困ってる？？と苦笑いされ、
『いえ、水溜りボンドさん大好きです』
真面目に答えると
「…ありがとう」
少し照れてはにかむ。
少しずつ話せるようになり、
どこに向かっているのだろう？と思いつつ並んで歩く。
「あ、家着いちゃった」
え？ここが…水溜りハウス…
うーん、と考えている様子。
「１つ聞いていい？」
『はい』
「あのー、一応聞くんだけど、俺とカンタどっち派？？」
へ…
「いや、カンタが好きなら、顔合わせて話くらいさせてあげられるかなと思って」
言わずに後悔するより、言って後悔する方がいい。
『トミーさん派です…。てか、めちゃめちゃ好きです…』
「あー…まじ？そうか…分かった。…今日もう帰らないとだめ？」
『…いえ。』
ふーん、
と手を引かれる。
え、え、え？
と気づけば玄関の中に連れられていた。
「上がって」
ほんとに？
「ただいまー。」
階段に向かう彼に、きて、と手招きされ足を踏み入れる。
階段を登れば見覚えのあるリビングの扉。
ガラガラと開かれたその奥には、イヤホンを耳にパソコンに向かう1人の男性。
「え、誰その人」
「視聴者さん。俺のファンなんだって、連れてきちゃった。」
「お前…やばいよそれは」
「いいの。俺が責任とるから」
俺しらないよ？頼むよ？
リビングから出て行ったその人。
いや、カンタくん。
「座って、話そ」
ソファに座った彼が隣をポンポンと叩く。
この状況、何度夢に見たであろう。
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りぼんむすび(プロフ) - 星空夢月さん» 可愛いらしい彼女に書けていたら嬉しいです(*^o^*) (2020年6月10日 23時) (
レス) id: 55c9620158 (このIDを非表示/違反報告)
星空夢月(プロフ) - りぼんむすびさん» なるほど！確かに言ってましたね！面白がって使ってるなんて可愛らしい彼女ですね(*^^*) (2020年6月10日 20時) (レス) id: 335f3bf1dc (このIDを非表示/違反報告)
りぼんむすび(プロフ) - 星空夢月さん» いつも見ていただき、ありがとうございます！その部分は以前富永さんがラップの一節で言っていた「大好きな俺は変態だなぁ」っていうフレーズを、彼女がおもしろがって使っているという設定です。分かりにくくてすみません(>_<) (2020年6月9日 18時) (レス) id: 55c9620158 (このIDを非表示/違反報告)
星空夢月(プロフ) - いつも更新楽しみに読ませていただてます。誤字を、見つけたのですが、１８ページの、大好きな俺はってとこ、大好きな私はでは無いのでしょうか？ (2020年6月9日 18時) (レス) id: 335f3bf1dc (このIDを非表示/違反報告)
りゅたん(プロフ) - わ〜！あっててよかったです！(*`･ω･´) (2019年6月1日 11時) (レス) id: 5fba2d6cb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りぼんむすび | 作成日時：2018年9月3日 0時
