みずたま リボン

土曜日の朝 ページ18

んん…

目を覚ますと視界は真っ暗だった。
すぐに、抱き締められていることに気付く。


もぞもぞと顔が見える位置まで上がる。
いつも彼の方が先に起きていることがほとんどだから、寝顔が新鮮である。

「…くしゅん！」
大きなくしゃみに、彼の格好を見る。パンツ一丁で、そりゃ寒いよ！

自分はというと、素肌に直接ではあるが着た覚えのないTシャツをきちんと着ていた。

きっと眠気に負けそうになりながら私にだけは着せてくれたのだろう。

『も〜…ばか』

ちゅっと寝顔にキスをして
ぎゅっと抱き着く。

広がる大好きな匂い。
『どんだけ好きにさせるの』

スーっと匂いを堪能しながら頰をすり寄せる、こんなこと
『…大好きな俺は変態だなあ』


全然起きないので、ちょっと意地悪してみたくなる。
胸元にキスして吸ってみる。赤い跡が付いた。
なんだか嬉しくって、もっと付けてみたくなってしまう。
首元に近寄り、狙いを定めてチロリと舐める。

「そこはダメ」

首に口付けるはずの唇に、柔らかな唇が重なる。

「俺動画出れなくなっちゃうでしょ」

『ご、ごめん…。ついしたくなっちゃった』

「でも、まー、ニキビって言えばいいか」
いいよ、と微笑む彼。

鎖骨あたりに変更して吸い付く。
『これなら見えないかな、上手上手』

「自分で言うなやー」
ひひひ、と撫でられる。


『ね、いつから起きてたの？』

「んー？キスして抱き着いてきたところ」

『序盤じゃん…』

「"大好きな俺は変態だなあ"？」

『……やめて』

全部聞かれていたようだ。

「かわい」

ちゅっと首元に痛みが走る。

「あー、ほんと、大好きな俺は変態だなあ…」

彼の指が跡をなぞる。

『ねえ、めちゃくちゃ見えるところなんですけど』

「いーじゃん、お前が誰のか一目瞭然で」

もう一度口付けられると
シャワーに行こうと抱き起こされる。


シャワーの後着替えて、朝ごはんを作ろうとキッチンに入ると冷蔵庫を物色するカンタくんと出会う。

カ「うーす」
カンタくんの視線は私の首元。

「お、カンタおはよー」
後から入ってきた彼を見て

カ「おい！」
と、怒るカンタくん。

「なんだよ(笑)」

カ「俺しーらない」
ミネラルウォーターを掴んでキッチンを去るカンタくん。

首をかしげて彼を見る。


「ここ」
指差したのはTシャツから微妙に見え隠れする跡。




「逆にえろい。ほんと上手に付けたな」




今日からしばらくトミーで検索したら"キスマーク"と出てくるでしょう。


〜END〜

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