髪型を変えると雰囲気も変わります。 ページ1
中学3年生、冬のお話。
「あ、」
「あ?」
それは偶然の出来事だった。
見知らぬ大人の女性に声をかけられる灰崎先輩と、ばったり街中で出会ってしまった。
一瞬髪型が変わり過ぎてわからなかった。
「…チッ。退けよオラッ」
「キャッ。な、何よ!女に恥かかせるなんて、サイテー!」
まるで虫を払うかのような動作に、ボンキュッボンな女性が怒って去って行く。
そんな彼女の事を気にする様子もなく、灰崎先輩は私の元へズカズカと近寄ってきた。
「お前のせいで折角のチャンスがパァだ。責任取れよ」
「えっと、ご自分で追い払って…わっ」
右腕を掴まれ、強引に引っ張られる。
行き着いた場所は、見知らぬ公園だった。
ドカッ、勢いよくベンチに腰を下ろす先輩につられ、私も隣に腰を下ろす。
そして、なぜかお互い無言。
…何の用だろうか。
疑問に思っていると、隣から「おい」と声をかけられた。
「お前、変わったな」
「…え」
「今は中3か。前までチンチクリンだったくせに」
そう言ってふん、と鼻を鳴らす灰崎先輩。
どうやら一年の頃の私を思い出して笑ったらしい、何てお人だ。
「今は身長も髪も伸びましたし、さっきの女性ほどではないにしても身体つきだって…こう、なんとか」
「身長はどう見ても150ないし、身体はまだ貧相だけどな。B…いや、ギリギリCくらい?まあトリプルAだった一年の頃よりはマシか」
ギクギクッ!
的確に当てられ、鞄に入れていたラノベで先輩の視界を遮る。
すると、「まだハマってるのかよ」と何故か呆れたような声が。
というかトリプルAは流石にない。
ない…筈だ。
チラリと視線を向けると、再び鼻で笑われた。
解せぬ。
その後、何故か灰崎先輩にご飯やらゲームセンターやらスポーツ店やらに連れ回され、気づけば連絡先を交換しまた会う約束までしていた。
『灰崎』
登録されたその名前を見て、少し嬉しくなってしまうのは内緒だ。
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塩おにぎり(プロフ) - 面白くて好きです!!更新待ってます❣️ (2022年7月2日 21時) (レス) @page12 id: 75433748f1 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 好きです!ラノベも黒バスもテツ君も好きです!更新して下されば幸いです?! (2021年5月16日 12時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のんびりん | 作成日時:2020年10月1日 16時