ε ページ10
「……復…讐！」
涼太は愕然とした。
忘れかけていた感情の波が押し寄せる。
「魂を吸い取られたかのように虚無感のまま、俺に忠義を尽くしてくれるのも嬉しいけど、まあ、そんな涼太が良くて側に置いた訳じゃないから、そろそろ、本来の涼太を取り戻してもらおうか。」
「本来の…俺…。」
「誰の勧めか知らないけど、紛い物に取り憑かれた哀れな俺の護衛をちゃんと成敗してあげるよ。蓮、君の為だ。哀れな涼太の姿なんて見たくないだろう？ここは俺と涼太の二人きりにさせてくれるかな？」
「……分かりました。」
渋々、大介の提案を受け入れる蓮。
ボロボロの体を引き摺りながら去っていく。
涼太はため息をついて落とした剣を拾う。
「涼太、こうしてしっかり対戦するのは次期騎士団長として噂されていた時以来だね。実力なら一番だと密かに自信を持っていた涼太が俺にタイマンで負けて、敗北という名の泥を被った挙句、宮舘家の失態を聖雪騎士団内で一気に拡散されて、浴びせられた屈辱を忘れたなんて正気じゃないだろう？」
「やめろ…やめてくれ…。」
涼太は悲痛な叫びを漏らす。
蓋をして封じていた思い出したくない記憶が猛スピードで脳内を駆け巡る。
「涼太はメンタルは弱い。痛いところを突かれると脆く崩れる事を一番、知っているは俺だ。」
壁際に追い込まれた涼太に追い打ちをかけるように間合いを詰めて大介は握っていた剣を勢いよく壁に突き刺す。そこに込められたのは殺意では無い。
涼太はそれを間近で感じ取った。
「お、俺に…こ、殺される未来が、そんなに嬉しいのか…！」
「……嬉しいさ。涼太ぐらいだよ、明確に殺意を剥き出して伝えてくれる人間は…。そして、その目に情熱が灯っているんだ。俺を熱くさせるようなギラついたその獣の瞳に恋焦がれているんだよ。」
「……恋焦がれる…だと？」
涼太は目を細める。
大介がそんな想いで自分を見ている訳が無いと思っていたからである。
「あ、あり得ない。俺の人生を滅茶苦茶に壊しておいて…挙句、恋なんて…ふざけてるのか？」
「さあ、涼太、もう澱みなく殺意を向け、その突き刺さった剣を引き抜いて俺を刺してみろ。反撃できない君ではない。」
「……思い通りに殺すかよ。」
「おや？」
「アンタの望みは叶えさせないさ。俺は俺がやりたいように復讐する。こんな綺麗に刺す訳ないだろう。残酷かつアンタが俺を憎悪するやり方で殺す。それが俺の答えだ。」
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赤雪(プロフ) - まるさん» すみません！気付かず、作っていました。お知らせいただき、ありがとうございます！ (8月8日 20時) (
レス) id: e2d8ee24ac (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - オリ／フラ立ってますよ！💦 (8月8日 20時) (レス) id: 9d56acad26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：赤雪
| 作成日時：2023年8月8日 19時
