α ページ6
「俺も殺すの？」
大介が抑えていた力を弱め、その反動でふらつく亮平を涼太が壁に押し付ける。
「幼馴染も殺し、身内も始末するの？」
「今更、俺の良心に訴えかけてどうなるとでもお思いか？」
涼太は明らかに亮平を軽蔑する。
その目がとても冷ややかなのを長年の付き合いでよく分かっている。
「翔太も岩本様も…そして、ここに横たわっている連中も騎士団長の護衛として立ち塞がった人間は全て俺が葬った。」
「……舘さん。」
(俺だって元騎士だ。それなりに思う所はある。でも、いつの間にかそんな気持ちは消え失せた。罪悪感なんてどうでも良くなった。ある種、一線を超えたって事なんだろう。)
「だからって、現実から目を背けたら終わりだ。俺は犠牲を受け入れて前へ進む。最期に言い残す事はあるか？」
「……無いよ。そもそも、この行動に後悔してないからね。」
そうやって微笑む亮平。
こんなにも綺麗に笑う亮平を涼太は初めて見た。
「さよなら、舘さん。また、いつか会おう。その時は昔のようにまた、仲良くしてくれる？」
「……ああ。」
涼太は大介を横目で見ると大介は首を縦に頷く。涼太は一瞬、目を閉じた後、大介から貰った銃で亮平の心臓を狙い、躊躇う事なく撃った。
己の鉛の所為で、力が抜けて体温すら失せて崩れ落ちる亮平を抱えた涼太も見た目は傷一つついていないが、満身創痍だった。
「……これで革命の芽は全て刈り取った。さあ、世間の目を再び、俺の率いる聖雪騎士団へと戻そうか。」
涼太はそう語る大介が酷く歪んで見えた。
そして、より一層、恐怖を抱いた。
封じられた大介の未来を視る力もまた、復活した。
・
・
・
亮平の革命から数日。
涼太は大介から休みをいただいた。
しかし、与えられた自室から一歩も出ず、頭を抱えていた。
「宮舘殿は大丈夫なんでしょうな？あれから一回も見てない。」
「過労だったからね。少し休みを与えてるんだよ。」
「そうには見えませんけどね。それにしても、数々の強者を滅ぼしてきた宮舘殿の負担が大きいとは思いませんか？」
「俺の護衛だからね。それぐらい当然だけどねぇ。まあ、涼太は上手くそこは割り切れるタイプだと思うよ。散々、外野から物好きとか色々、言われてきているからね。」
大介は涼太を心配しない。
気遣いなど、無用といった感じだった。
「過労って事で片付けたら、いずれ、宮舘殿は大丈夫なんでしょうかね…。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 166人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
赤雪(プロフ) - まるさん» すみません！気付かず、作っていました。お知らせいただき、ありがとうございます！ (8月8日 20時) (
レス) id: e2d8ee24ac (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - オリ／フラ立ってますよ！💦 (8月8日 20時) (レス) id: 9d56acad26 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：赤雪
| 作成日時：2023年8月8日 19時
