無力 ページ5
「この程度かな?」
大介は更に追い込んでいく。
騎士としての力を試している。
「特殊能力が無くても体術で渡り合えてしまうんだ。言っておくけど、俺だけじゃなくて涼太もそうだよ。封じられても力でねじ伏せられたら、そこで終わりだから。」
「ぐぁっ…!!」
声にならない悲鳴が響いた。
涼太と辰哉は「あーあ」と呆れている。
「一筋縄ではいかないか…。」
しかし、この展開も想定内のような表情の亮平がようやく、戦闘モードへと切り替える。
「舘さん程の強者じゃないし、力足らずで学ぶ事は大好きだったから知力だけを伸ばして諦めていた。それでも、何かを変える為には力が必要だから俺だって鍛錬してきた。そして、今なら勝てると確信している。これより先、もう二度とチャンスなんて無いと思うから。」
大介の握る剣と互角に渡り合えている。
これには涼太も驚いた。
(知らない間にこんなにも力を付けてきたのか…。俺は気まずいという理由で避けていたが、確かに彼の手にはまめが出来ていたし、所々、痣もあった。知力だけでなく、武力まで鍛え抜いていたのだな。)
「未来を視る力を封じられた今、この先の展開は読めない。だから、死ぬリスクだってある。そう簡単に、下手には動けないよ?」
(本当に詰んだ…?いや、あの宮舘殿を陥れた騎士団長殿がそう簡単に躓く訳が無い。何か策があって自らの能力を封じるように仕向けたのでは…?)
大介の額から汗が滴る。
緊張が周囲を包み込む。
「そうだね。確かに今の俺は詰んでいる。でも、俺の護衛はそうかな?俺の目を超え、阿部ちゃんの腕すらも超えてくれる。」
「…っ!」
「今、この聖雪騎士団内で涼太が騎士として腕を奮っていた時の姿を見ていた人間はどれくらい居るんだろうね?俺が下手に動かなくても戦況を一気に変えてしまうぐらいの実力を持っている事をどれくらい知っている人間が居るんだろうね?」
涼太は亮平の側で大介を牽制する騎士たちを次々に銃で撃つ。しかも、全て容赦無く急所を狙っている。
暴れ回る涼太と比例してバタバタと倒れていく亮平が所有している駒たち。
「俺が阿部ちゃんを抑え、他の雑魚を涼太と辰哉が減らす。未来が視えなくてもこの作戦の結末は読める。」
涼太がゆっくり亮平に近づいていく。
勿論、手には銃が握られている。
「革命を起こすなら、涼太を自軍に引き込むか、もしくは始末してから臨むべきなんだよ。」
「……詰んでいるのは、お前だ。」
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赤雪(プロフ) - まるさん» すみません!気付かず、作っていました。お知らせいただき、ありがとうございます! (8月8日 20時) (レス) id: e2d8ee24ac (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - オリ/フラ立ってますよ!💦 (8月8日 20時) (レス) id: 9d56acad26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤雪 | 作成日時:2023年8月8日 19時