γ ページ4
「な…何が起こった…？」
呆気に取られている涼太たち。
大介は、がははとまるで悪役のような笑い声を漏らす。
「……良いねぇ。俺の力、封じられちゃった。彼の力は特殊能力封じか…。そんな面白い力の持ち主が聖雪騎士団内に隠れていたなんて知らなかったよ。」
「本当に切り札みたいな力じゃないか…。」
辰哉はそう呟きながら、苦虫を噛み潰したような表情で戦況を見守る。
「宮舘殿、目を合わせるなよ？」
「そんな事は百も承知だ。」
(まさか、アンタは俺を庇って力を封じられたのか？そんな柄じゃないのに…。そんな情を与えられた所で俺に対するポイント稼ぎにもならない筈なのに…。)
「力が無くても君ら如きに俺が負けるとでも思ってるなら、思い上がりにも程があるよね。」
そして、男と剣を交える。
大介は力を封じられたとしても元々、備わっている騎士としてのスキルが高いので強さは揺るがない。
「ぐっ…！」
(結局、特殊能力を抜いた実力勝負では騎士団長には敵わない。元から俺と拮抗するような強さを持っていたから当たり前だろうが…。)
涼太と辰哉は安堵しつつ、亮平の前に立ち塞がる別の特殊能力者を蹴散らそうと対峙する。
「能力封じ、空間操作、こんなに強力な力を持ってる騎士たちが存在感を出さずに隠し通すなんて…。」
辰哉は空間操作の力に少しずつ慣れ、フラつきながらも防御している。
ただ、どうしても攻めには転じられない。
「それがこの社会さ。大多数が力を持たない一般人。力を持つ人間は異形の存在として好奇の目に晒される。それこそ、差別に遭う。そんな目に遭うなら、隠すのが最善でしょう？」
(翔太同様、彼らもまた、特殊能力を持つ故の苦しみを味わっているのか…。それを阿部が上手く束ねた。)
「だから、今までなりを潜めていた。しかし、俺はそれを改革する。特殊能力は特殊能力で、力を持たない者はそれらで束ね、騎士団内で強い二つの集団を作り上げる。今までのように混ぜていても何も変わらないからね。」
「ふーん、ご立派な思想だね。まあ、それが正しいかどうかは分からないよ。逆に差別が広がるかもしれない。」
「それはお互い様でしょう。」
「ただ、一つ言えるのは特殊能力者を駒のように扱うのは気に入らない。阿部ちゃんは目的達成の為に利用しているだけでしょう？」
大介はそう言って能力封じの男を勢いよく蹴り飛ばす。単純な力では、実力差は歴然としていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 166人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
赤雪(プロフ) - まるさん» すみません！気付かず、作っていました。お知らせいただき、ありがとうございます！ (8月8日 20時) (
レス) id: e2d8ee24ac (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - オリ／フラ立ってますよ！💦 (8月8日 20時) (レス) id: 9d56acad26 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：赤雪
| 作成日時：2023年8月8日 19時
