24.YSside ページ24
「オレが今日が教えるんだけど…好きな曲とかある？」
そうAに聞けば考え込んだように黙り込んだ。やっぱりあの日の夜のようにまだ歌うのは難しそうだ。
「無理にとは言わないけど…」
綺麗な顔に眉間にシワを寄せ考え込んでいる好きな歌なら歌いやすいかとも思ったんだが…そうでもないのか？
「あの日…酔っぱらった日…イェソンオッパの部屋で寝ちゃってた日…私イェソンオッパと歌った気がするのよ」
「あぁ…覚えてたのか…あぁ、歌った…A whole new worldを歌った」
「そう…なのね。やっぱり夢じゃなかったんだ…」
少し嬉しそうにそう答えた。
「もう一度一緒に歌ってみるか？」
「えぇ」
俺が歌い出せば、おずおずとAは歌い始める。俺も認められるまでは歌うのが怖かった…俺にはメンバーがいたから耐えれた。
けどAは一人でステージに立つ事になる。
それがとてつもないプレッシャーでいかに大変な事は俺も最近知った…歌を歌うのが楽しい、という事さえも忘れてしまうくらいプレッシャーに飲まれてたんだ。
「A whole new world…」
震える声で歌うAの目を見て手を握って歌ってやれば自然に声が出るようになってきた、それにとてもよくハモる。
「「For you and me……」」
「うた…えた…」
「A、歌うのは楽しい？」
「そう…だね…歌を歌うのはとても楽しい事だったね…最後まで歌えたや」
「無理しなくていい、しんどくなったら俺やキュヒョンそれにBoAに頼ってもいいんだ…1人で背負わなくたっていい俺たちはファミリーだから」
「family…家族…」
嬉しそうにどこか悲しそうにそう言ったAに引っかかったが今は聞く時じゃない…そんな気がした。
「A他に知ってそうな曲を教えてくれ、お前の歌を聞きたい」
「うん…わかった」
AはBoAの日本で大ヒットした名曲メリクリやそれに東方神起のなんで君を好きになってしまったんだろうをアレンジして歌う。
あぁ、どうしよう。
やっぱり最高だ。
凄い、この声…声量伸び…
本当に目が離せない……
「日本語上手だな…BoAと練習を？」
「うん…まぁ…オンニに日本語教えてたし」
「教えてた？英語も発音綺麗だな…」
「ママが日本人とアメリカ人のハーフだったの…ママは日本語で話していたからママのおかげね」
「そうだったのか…」
"だったの…"の言い方に少し違和感を覚えたが俺は黙ってAの歌声を聴いていた。
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作者名：リア | 作成日時：2019年6月1日 12時
