【d!】恋愛恐怖症の彼女をおとせ！乙女ゲーム！ (ページ6)

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嫌ですと心の中では言うが口に出す勇気は無い。

それが陰キャというものだ。

「何が嫌か話し合おう。」

『え？』

そんなのいっぱいありますけどと心の中で付け足す。

私が正直に話した方がいいのか悩み、止まっていれば彼は真っ直ぐこちらを見ていた。
それに気づき私は陰キャ特有、目線を合わせないよう視線を下に向けて話す。

太陽を直視してるようなもん。目がチカチカするわ。

この人フード被ってて影のせいで目が見えないから余計怖いし

「ゆっくりでええわ。話すの難しかったら俺が質問するし」

かつてこんなことを言ってくれた人はいただろうか。

あ、でも心の中でははよしろカスとか言われてんのかな

「じゃあ質問するな？上下関係が嫌？」

いきなり始まった質問に驚きながらも、私は言葉を考えその質問に答える。

『上下関係はあってもいいと思います。先輩として敬うとか...でも行き過ぎたものは嫌いです。』

「そうか、その他にはある？なんか嫌なとこ」

表情が見えなくてどんな感情を抱いているのか分からない。
このまま正直に話していいのか。

でも話さなかったらじゃあ大丈夫だ行こう！みたいな雰囲気になられるかもだし...

『自分の気持ちを理解してくれない先生とかすぐ怒鳴る先生とか...』

私がそう話せば、とんだ恨みがあるのか家を眺めていたシャオロンさんが目を光らせて話に賛同してくる。

「ほんっっっまわかる！あいつらってなんで迷惑かけてもないのに怒ってくるん？俺はできたからお前らもできるみたいなスタンスとか＿」

私は女子の愚痴大会に参加したことがなかったから楽しさが分からなかったが、今わかった。
悪い事だとはわかっている、でも同じこと思ってる人がいて、それを理解してくれてるのが嬉しく思えてしまうのだ。

罪悪感と喜びに背中を預け、私も時々喋ってみる。

勇気をだして喋れば反応してくれることが嬉しかった。

陽キャというものに偏見を抱いていたが、しっかり聞いてくれて尚且つ話もうまい。
陽キャはただのうるさいヤツらだと思っていたが意外と良い奴だった。

「愚痴れて楽しかったわ！」

「お前なぁ...」

呆れたように言うゾムさんとルンルンなシャオロンさんを見送るため玄関前まで行く。
2人は玄関扉の外から手を振ってくれた後言ってくれた。

「また明日な！」

私は初めて言われたその言葉に驚きながら反射で礼をした。