狼は柱を嫌う。

昼餉の後は ページ10

『ご馳走様でした！』

(師範)「お前は、美味そうに飯を食ってくれるから嬉しいのう。」


『はい！おいしいです。ご飯！』


(師範)「ここしばらくは、弟子をとっとらんから、そんな顔も見れんかったなぁ。」


『俺の前の弟子は何年前にとったんでしょうか。』


(師範)「あいつが来たのは五年前じゃなぁ。」

(師範)「元気が良くて人懐っこい奴じゃった。今は何しとるんだか、サッパリでの。」



(師範)「さ、次に入るぞ。」

『はい！』

(師範)「次は、鬼殺隊についての事じゃ。」


(師範)「鬼殺隊になるには、まず、最終選別で生き延びなければならない。
七日間、食べ物を食べている時間はない。｣

「さらに、中には、人を二、三人喰った鬼が
そこらじゅうに居る。｣

｢最終選別を生き延びたあとは、
階級が十あり、下から
癸、壬、辛、庚、己、戊、丁、丙、乙、甲。｣


「そして、鬼を五十体以上倒し、様々な死線をかいくぐった者だけがなれる。






《柱》。」


『柱...。』


柱ってそんなに遠い所にあるんだ。

最終選別を生き延びたからって、五十体以上倒す。という事は、五十回、死線を潜らなければいけないこと。

今、自分はとてつもなくちっぽけで、弱いものだと自覚するには充分だった。


(師範)「だからだ。だから、今強くなるのじゃ。」

(師範)「経験は宝。何者にも変え難い宝を、
お前は手にしなくちゃならない。」



宝...か。


俺は強くなれるのかな。

俺は人を助けられる？

誰かを...守れる？


(師範)「習うより慣れろじゃ！山を走りに行くぞ！」

そうだよね。グダグダ言ってても変わんない。
なら、変えるまで。


『はい！』









(師範)「膝を使え！膝を！」



(師範)「腰に力を入れろ！」



(師範)「肺を膨らませろ！」




とてつもなく空気が薄い山を、力の限り走る。



所々に罠があって、最終選別に行かせる前に、殺そうとしてるんじゃないかと疑う。


丸太がビュンビュン言ってる間を走り抜け！

なんて言われても。


(師範)「A！お前なら出来る！行けっ！」

『おっす！うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ！』


隙間を見てくぐる、よける、止まる。


何度も繰り返し、辿り着いた。


鬼 畜 ち ゃ い ま す ？



(師範)「よくやったな！次は柔軟じゃ！」


『(°∀°)ﾋｨｨｨｨ』

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