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藤の花 ページ19

『わ...。綺麗...。』



食べ過ぎで、少し重い腹を揺らし、緊張による吐き気に見舞われながら見たのは、美しい藤の花だった。





本能が危険信号を出した。

沢山の藤の花で緩和された空間であったが
微かに、禍々しい波動が広がっていた。




腰に携えた刀は二本で、鞘の中でうずうずしているように感じられた。









思わず息を呑んだ。

こんなにも人がいるのかと。

何処か神秘的で、

それなのに、酷く恐ろしい。





「皆さま、今宵は最終選別へ、お集まりくださってありがとうございます。」


「この藤襲山には、鬼殺の剣士様方が、生け捕りにした、鬼が閉じ込めてあり、外に出ることはできません。」



「山の麓から、中腹にかけて、鬼共の嫌う、藤の花が一年中」


「狂い咲いているからでございます。」


「しかし、ここから先には、藤の花は咲いていませんから、鬼共がおります。」

「この中で、七日間生き抜く。」



「それが、最終選別の合格条件でございます。では...」

「行ってらっしゃいませ。」





サッ...と人が、藤の花の囲いを抜け、
鬼の寝床へ進んでいく。


行かなきゃ。








(師範)「自分の身を守れ、己の身を守れない様な奴では、人を守ることも出来ん。」




最終選別に出る前に、

師範が言った事を思い出した。









そう、生きて居よう。

生きてさえいれば、大抵の事はどうにでもなる

母もそう言っていた。




負けてたまるか!




まず、作戦だ。

周りには木が沢山。

太陽は、東から。でも、山の中だ。意味は無い



一刻も早く、下山したい。



その事を考えると、
話を聞いた所にほど近い、この木の上が丁度良いだろう。








『よっ...と。』


周りの子は、四方八方を見回し、東の方へ進んでいく。



生暖かい風が吹く。

ゆらりと、腐った様な臭いが鼻を掠めた。


耳飾りの羽が触れた時、つい先程までの、和やかな風景が脳裏に浮かぶ。







「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」



『...ッ!』


生命が遠のく、そんな声がした。

そう遠くはない。







タタタタッ...



「嫌っ...!やめて!まだ死にたくない!」



相手にしたことは、いい事も、悪い事も、全て

自分に返って来る。


とは言いきれないが、

見返りを求めてはいけない。

相手に望むのは、無謀な事だ。



『牙の呼吸...弐の型。』

最終選別→←行ってきます



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黒孤 - この作品面白いですね!!狼と夢主ちゃんは一緒に行動しないんですか?僕一緒行動すると思ってました。更新頑張ってください!! (2019年10月17日 21時) (レス) id: d64dd6f51c (このIDを非表示/違反報告)
banana(プロフ) - 皆様!読んで下さり、誠にありがとうございます!感想を見てニヤニヤしているキモい作者ですが、これからも頑張りますので、宜しく御願いします! (2019年10月16日 15時) (レス) id: d3e0ea658a (このIDを非表示/違反報告)
狂狐(プロフ) - 今日見つけたんすけど一瞬にしてこの作品に惚れました!文才なととても凄いと思います!更新頑張ってください!応援して (2019年10月14日 13時) (レス) id: 8ba41bb7e5 (このIDを非表示/違反報告)
麻里 - これ、好き。更新、頑張って下さい (2019年10月6日 18時) (レス) id: c144890f71 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬。 - めちゃくちゃ面白いです!更新頑張って下さい。 (2019年10月4日 14時) (レス) id: 954f1fe671 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:banana | 作成日時:2019年9月8日 16時

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