第7話「俺達はなんなのだろう。」 ページ8
「ねぇ、今日うち来ない？」
「物間の？いいのか？」
「全然いいよ。この間やったゲームあるでしょ？あれ対戦相手がいないと面白くなくてさぁ…。」
中学に入ってから時間が経つのは早かった。
成績も数学以外は置いておくとして、順調に伸びていた。
女子と話すのがまだ慣れないけれど、男友達とは遊びに行くことも多くなった。
けれど、やっぱり物間と遊ぶことが一番多かった。
友達の中でも気を許せるのは物間だけだと思う。
一緒に居て全く気を使わなくて済むし、何より楽しい。
「わかった。じゃあ、１回帰ってから来る。」
「はいはーい。じゃあ家で先待っとくから。」
「うん。また後で。」
一旦家に帰って、お菓子でも取ってくるか…。
ふとそう思った時。
「A。」
さっき、道を曲がったばかりの物間に呼び止められる。
「どうした？」
「…あ、いやごめん、何でもない。」
「…？ならいいけど…。じゃ。」
「うん…また後で…。」
一体なんだったのだろう。
あの物間の表情はなんというか、どこか不安気だった。
俺に言いたいことがありそうな目をしていた。
物間のことならある程度分かるようになってきた。
けれど、ひとつ分からないことがある。
それは、あいつが俺の事をどう思っているか。ということである。
物間の考えていることなら何となく分かるし、表情で今どんな気持ちなのかもなんとなくだが分かる。
だが、俺の事をどう思っているのかが全く掴めない。
物間は確かに友達だ。今では親友と言えるかもしれない。
けれどあいつはどう思っているのだろう。
聞いてみるべきなのだろうか。
本当は聞きたい。
だが、その答えが俺の思っていることと違った時を想像すると、勇気が出ない。
友達のはずなのに。
俺たちはどこかまだ、絡みあえていなあい。
第8話「俺達はともだちだ。」→←第6話「変わらない身長差。」
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作者名：りあお | 作成日時：2018年8月26日 11時
