第4話「再会して得た物」 ページ5
振り向くと、そこには
綺麗な金髪と、碧眼の、あの少年と思われる人物が立っていた。
「え、と、あの時の傘の…。」
「やっぱりあの時の子なんだ。すごい偶然じゃん。」
ほんとに、本当にあの時の少年と会えるなんて。
Aは心の底から喜んだ。
「俺も会えるなんて思ってなかったよ。あの時は…本当にありがとう。」
「いいって。傘貸しただけだしさ。」
少年にとってはきっとそうなのだろう。しかし、
Aにとっては、それが大きかった。
「物間ー！こっちここいよ！」
「はーい。ごめん、友達が呼んでるからいくね。」
そうか、みんな友達がもういるんだ…。
幼稚園、小学校に行っていないAには、友達がいるはずなかった。
「うん。またね。」
Aは少し寂しかったが、笑顔で手を振る。
自分にも友達はできるのだろうか…。
不安に包まれるが、少しわくわくも混ざっていた。
新しい生活、新しい環境、全てがAには新鮮だった。
「ねぇ、君！」
急に、さっき友達の元へ言ったはずの、あの少年が全速力で戻ってくる。
「ど、どうしたの！？」
「名前、聞いてなかったから…。」
名前…。
「椿鬼だよ。眼帝 椿鬼。」
「椿鬼君ね。僕は、物間寧人。」
物間寧人…。
やっと名前を知ることができた…。
「よろしくね、物間君。」
「うん。じゃ、また。」
ごめんごめんと言いながら、物間は友達の元へと戻る。
物間君か…。同じクラスだといいな。
「椿鬼〜。ごめんごめん、待たせた？」
「大丈夫だよ姉さん。忘れ物は大丈夫？」
「えぇ。危なかったわ…カメラを忘れるなんて…。」
「ふふ。そうだね。」
「よし、じゃあ受付に行きましょう。」
忘れ物を取りに行った姉と合流して、受付会場に行く。
今日からの生活が楽しみだ。
第5話「友達が出来た日」→←第3話 「過去の話は終わりにしよう」
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作者名：りあお | 作成日時：2018年8月26日 11時
