物間と俺の3年間。 (ページ2)

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第1話ページ2

雨の中、Aは1人ブランコに座っていた。

俯いたまま、空をみあげることもないまま。
ただ、自分の存在の意味と、後悔を募らせていた。

「何やってるの。」

突然話しかけられ、思わず顔を上げる。

そこには、綺麗な金髪と、碧眼の少年が立っていた。

おそらく、年齢は自分と同じくらいであろう。

だとすると、11歳か、12歳くらいだろうか…。

「ちょっと、僕の声聴こえてる？返事出来ないの？」

久しぶりに外の人間と会話したせいか、言葉が出てこない。

というよりむしろ、話すのが怖かった。

体が震えているのがわかる。

「顔色悪そうだし…早く家に帰ったら？もうすぐ5時だよ。」

帰る家はある。
しかし、帰りたくなかった。

「仕方ないなぁ…。ほら。これやる。」

急に差し出された傘に、困惑を隠しきれなかった。

なぜならその傘は、名前も知らない少年の持ち物だ。

自分が貰う理由がない。

「はっきりしないやつだな…。さっさと立ちなよ。」

いきなり手を引かれ、ブランコから降ろされる。

立ってみると、身長は同じくらいだった。

おもむろに傘を持たされる。

何故この少年は自分のような人間に傘をくれたのだろうか。

Aには分からなかった。