第19話【帆凪藤四郎】 ページ18
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それで最初の演錬相手でこれである。審神者は初めましての脳死鍛刀イベですっかり忘れていた(というか普段から脳死イベだった)。自分の刀剣たちが尽く未実装だということに。
そのおかげで一期一振は気絶、対戦相手の審神者は魂を飛ばし、控室はカオスの極みだ。これは全面的に審神者が悪い。
「主さん、そろそろ演錬開始しないと……」
「……はっ、そうだそうだ」
堀川のファインプレーによってエンドレスおそらきれい症候群からなんとか回復した対戦相手の審神者は一期一振を起こしにかかる。しばらくして目を覚ました一期一振は辺りをきょろきょろ見回すと行儀よくそばで座っている藤四郎たちとしゃがんで苦笑いの篠村を見て三度目の正直と今度こそは魂をどこかにやらなかった。目覚ましい進歩だ。
「お、お前たちはいつ戦に参加したんだい? 私はそんな話聞いていないよ」
「僕もいつの間にか手違いで降りてきてたので参加してるとかしてないとかわからないんですよねぇー。それはそうといち兄、久々にお会いできて嬉しいです!」
「ああ、毛利以来かな。久しぶりだね帆凪」
にかっと帆凪が笑う。
「い、いち兄っ! お久しぶりです!」
「久しぶり小桜。随分立派になったじゃないか」
「……えへへ」
嬉しそうに小桜ははにかんだ。
「この大脇差のこと忘れられたら困るよいち兄! 長く会えなかったけどまたあえて嬉しい」
「うん。風の噂で紅のことは聞いていたよ、よく頑張ったね」
「……うんっ」
一期が紅の頭を優しく撫で、撫でられた紅が照れくさそうに笑う。
「篠村叔父上、ご挨拶が遅れてしまった上にお恥ずかしいところをお見せして申し訳ありません。叔父上も毛利家以来でしょうか、ご無沙汰しております」
「おー久しぶりだな一期。ほれほれ」
「えっ、ちょ、叔父上!?」
そして篠村が一期の頭を逆に撫で、一期が慌てたところで演錬開始の法螺貝が鳴った。
その音を聞いた途端、先程までのぽやぽや粟田口オーラは消えて一期と篠村たちが明確な一線を引く。
一期は一歩下がると篠村に丁寧な一礼をし、紅たちに軽く手を振って演錬場に降りた。
それを見送った帆凪たちも鶴丸と話をしていた猫々子丸たちと合流し、それぞれの仕草で準備万端の意を伝え合う。
「ふっふっふ、例え小さい子でも容赦はしませんよ!」
部隊長、帆凪藤四郎の掛け声で戦いの火蓋が切って落とされた。
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赤信号(プロフ) - 更新終了しました。 (2019年4月23日 0時) (レス) id: 674c6f2783 (このIDを非表示/違反報告)
赤信号(プロフ) - 更新します。 (2019年4月21日 23時) (レス) id: 674c6f2783 (このIDを非表示/違反報告)
学園運営者(プロフ) - 終わりました。 (2019年3月30日 11時) (レス) id: 671ce60c1e (このIDを非表示/違反報告)
学園運営者(プロフ) - 連続で申しわけありませんが更新します。 (2019年3月30日 10時) (レス) id: 671ce60c1e (このIDを非表示/違反報告)
学園運営者(プロフ) - 終わりました。 (2019年3月10日 23時) (レス) id: 671ce60c1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:時の政府(ニセモノ) x他8人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tekitouni
作成日時:2019年1月23日 0時