狐に嫁入り ___ kwmr ページ1
( your side )
ずっと気になっていた神社についに来てしまった。
写真を撮るのが趣味の私は色々な場所に足を運んできたのだが、この神社に来ることだけは躊躇していた。
そこに漂う独特な雰囲気
神秘的で人を寄せ付けない空気感
「よし、今日こそ」
勇気を出してその鳥居をくぐると、この空間だけは時間がゆっくりと流れているような感覚に陥る。
普段人が出入りしているようには見えないが、
綺麗に手入れをされた紫陽花が煌々と花を咲かせているのが美しい。
しかし、すぐ横にある狐の石像が目に入った時、強烈な違和感に襲われた。
本来なら二匹いるはずの狐の石像が、この神社には右側の狐しかいないのだ。
左側には、もう一匹の狐の石像がそこに腰を下ろしていたであろう石台しかない。
まあそういう神社もあるのかもしれないとあまり深く考えず、一匹しかいない狐にカメラを向けたその時、鼻先に冷たい滴が落ちるのを感じた。
「あっ...」
まずいと思った瞬間、雨粒は勢いを増して空から落ちてくる。
数分前までは立ち入ることさえ戸惑っていた神社で
雨宿りなんて...
少し迷いながらも、カメラを壊す訳にはいかないと判断し軒下に逃げ込んだ
「神様に怒られないかな...」
そう独り言を零したその時、
「これくらいのことで神様はお怒りにはなりませんよ。」
「えっ?」
「随分と降ってきましたね。どうぞ雨が止むまで、ゆっくりしていってください。」
「ありがとうございます...。あ、あの、あなたは?」
「私はこの神社の神主の河村と申します。」
「か、神主さんでしたか!失礼しました...。私は、Aと申します。」
「いえ、お気になさらず。それにしてもここへ写真を撮りに来るなんて、Aさんは物好きなのですね」
「ずっと気になってはいたのですが、何故か近寄り難い雰囲気があって....」
「ふふ、それで勇気を出して足を踏み入れてみたら雨ですか、」
そう言って何故か嬉しそうに笑う、恐ろしく美しい横顔を見て、もしかしたらこの人が神様なのでは...と有り得るはずのないことが頭をよぎる
「私の顔に何かついていますか?」
「いえ、そういう訳では...。それより、雨、止みそうにないですね、」
もしかして貴方、本当は神様ですか?などと聞けるはずもなく、当たり障りのない内容で誤魔化す。
「そうですね。しばらく雨宿りをしていってはいかがですか?」
「はい...そうさせていただきます」
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氷牙 - りのさん» お願いしまーす。 (2019年9月22日 23時) (レス) id: 990e5cc797 (このIDを非表示/違反報告)
りの(プロフ) - 氷牙さん» コメントとリクエスト、ありがとうございます!できる限り期待に答えられるように頑張ります〜! (2019年9月18日 2時) (レス) id: 7d5ae6a272 (このIDを非表示/違反報告)
氷牙 - りのさん» 山本さんと夢主が付き合ってる設定でお話を書いて欲しいです。 あと、すがいさんとの喧嘩をお願いします。 (2019年9月17日 6時) (レス) id: 990e5cc797 (このIDを非表示/違反報告)
すぺる(プロフ) - りのさん» めちゃ好きです…ありがとうございます…! (2019年8月17日 19時) (レス) id: bc24737c16 (このIDを非表示/違反報告)
りの(プロフ) - 月乃さん» コメント、リクエストありがとうございます!!こうちゃんのお話書いてみたのですがいかがでしょうか、、!お気に召さない点がございましたら、なんなりとお申し付けください!!! (2019年8月16日 2時) (レス) id: 7d5ae6a272 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りの | 作成日時:2019年6月30日 0時