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俺が両足を失ったのは、1年以上前のことになる。





高卒で建設系の仕事についていた俺は、現場の事故に巻き込まれて足を切断した。







生活の面倒を見てくれるような人もいなかった俺の世話を焼いてくれたのは、しめだった。





本当はちゃんと感謝しなきゃいけないことだったんだけど、ショックで心までやられかけていた俺は、多少上手になったはずの感情のコントロールがまたできなくなっていて。結果、自分でもびっくりするくらいしめにつらく当たるようになっていた。







一番ひどいことをしたのは、間違いなくあの日。しめが出ていって、二度と顔を見せてくれなくなった、あの夜だ。









あの日、俺はひどい幻肢痛に悩まされて、夜中に1人で苦しんでいた。それに気づいたしめは、わざわざ起きて鎮痛薬を持ってきてくれた。それなのに、俺は…







「…そんなもん、意味ねえんだよ!」





怒鳴りながら腕を振り回して、それがしめに当たってしまった感触も、水の入ったコップが割れた音も、はっきりわかっていた。それなのに、俺は暴れるのをやめられなかった。





足の痛みとか、痛いのに足がないこととか、よくわかんない怒りとか、恐怖とか。もうぐちゃぐちゃで、俺は泣きながら色んなものを床に投げつけた。







ひとしきり暴れて疲れ切ったとき、玄関のドアが開く小さい音が聞こえたのは覚えてる。多分、しめが出て行った音。この時、這ってでも追いかけて謝ればよかったのに。





次の日の朝、テーブルには近くの車いすバスケチームのチラシが置かれていた。もし俺があんなことをしなければ、きっとしめは直接俺にこの話をするつもりだったんだと思う。学生時代、俺がバスケに夢中になっていたことを覚えていてくれたんだ。







結果的に、しめが教えてくれたチームの存在は、俺を立ち直らせてくれる大事な縁になった。





でも、一番大切な人との縁は、ほとんど断たれて今もつながらないままだ。

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おさと(プロフ) - 6chanさん» 6chan様、コメントありがとうございます!短編のシリーズからお読みいただいていたとのこと、とても嬉しいです😭引き続き、こちらの作品にもお付き合いいただけますと幸いです! (2023年3月9日 22時) (レス) id: de6645fa3a (このIDを非表示/違反報告)
6chan(プロフ) - 短編の時から好きなお話でした。が、まさか、更に障害系要素が増えて、更にこれからが楽しみです! (2023年3月9日 0時) (レス) id: f726c31193 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おさと | 作成日時:2023年3月4日 19時

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