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俺、ダンス辞める。
当時15歳の海斗は、右足を失った俺の前でそう宣言した。
ダンスが好きで、大好きで、将来はダンサーとして世界中で活躍することが夢だと、俺は海斗にも語っていたから。心の優しい海斗が、俺の夢を断った罪悪感からダンスをやめようとしていることは明白だった。
だから、俺は言ってしまったんだ。
“ダンスは続けて。俺の分まで、踊って。”
もしタイムスリップできるなら、俺はその時の自分を殴ってでも止めるだろう。あれは、他人に自分の人生を背負わせようとする呪いの言葉だ。
10年前に俺が海斗にかけてしまった呪いを解いてやりたいと強く思ったのは、間違いなく元太と出会ったからだ。
何一つ悪いことはしていないのに、傷ついたのは彼自身なのに、自分を責め続けていた元太。もういいよと、泣きじゃくる彼を抱きしめていた時、頭をよぎったのは海斗だった。
海斗のことも、こうして抱きしめたいと思った。もう自分を許してと、俺はこの足で新しい人生を歩んでいると、会って伝えなくちゃと思ったんだ。
「…この足ね、時々痛くなるの。本物の足じゃないから、不便なことだってたくさんある。」
でもね、と言葉を継いで、海斗の目を見る。長い睫毛の先に雫がたまって、美しい。身を切られるほど痛くて、綺麗な泣き顔だった。
「でも、この足でもちゃんと歩いていけるんだよ。」
それから俺は、今の自分のことを話した。障がいとか色々な困難を抱える子どもたちを受け入れる、放課後デイサービスの運営を始めたこと。事故の後、動く両手を存分に生かしてやろうと始めた手話が、今役に立っていること。
足を失ったことが、それで海斗を苦しめたことが、よかったとは絶対に思わない。でも、予想もしない道に迷い込んだからこそ、出会えるものもある。
「俺は、この足で自分の舞台に立ってるよ。自分の足で、踊ってるよ。だから、海斗。」
―海斗にも、自分のために踊ってほしいんだ。
「2 踊る」fin.
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おさと(プロフ) - 6chanさん» 6chan様、コメントありがとうございます！短編のシリーズからお読みいただいていたとのこと、とても嬉しいです😭引き続き、こちらの作品にもお付き合いいただけますと幸いです！ (2023年3月9日 22時) (
レス) id: de6645fa3a (このIDを非表示/違反報告)
6chan(プロフ) - 短編の時から好きなお話でした。が、まさか、更に障害系要素が増えて、更にこれからが楽しみです！ (2023年3月9日 0時) (レス) id: f726c31193 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おさと | 作成日時：2023年3月4日 19時
