第283話 足を動かせ ページ5
❁⃘*.゚
『……ぁ、』
小さく声が漏れる。
開けた視界には、鮮やかな青が広がっていた。
空。青空……。本当に、夜が終わった、んだ。
「菖蒲!良かった、かなり危ない状態だったんだぞ……!」
『……』
「まだ安静にしてろよ。やっと止血が終わったところだからな。」
隠の方々が手際よく治療をしてくれていた。
皆は無事だろうか。……それに………。
『……ぁ、の、みんな、は……』
「まだ全員は把握しきれてないが……我妻と嘴平は無事だ。」
『……、あ、……の……』
「いい加減黙ってろ!また血が出てきてる!」
それは、治療してくれているのに申し訳ない。
でも、どうしても、胸騒ぎが止まらない。
俺がさっき見た夢のようなもの。
あれは、ただの夢じゃない、幻覚でもない。
梛の呼吸の奥義___鬼の動きを察知する力が未だに発動したままだ。
奥義は、周囲から鬼が消えれば自然と収まる力。
尾上の力の発展版みたいなものだから、俺が味方と認識すれば、この力も収まるはず。
つまり、敵味方はどうであれ、俺が認識していない鬼が近くにいる。
『い……ッ!』
「辛いだろうが我慢してくれ。圧迫しないと出血が止まらん……!」
これは、きっと今までで一番酷い状態なんだろうな。
今意識があっても、もしかしたら失血死するかもしれないんだ。
『(………それでも、構わない)』
「!?お、おい!重傷だ!起き上がったら……」
『ごめんなさい、でも、確信に近い……っ、』
ダメだ、立てない。
せっかくこんな力があっても、動けないんじゃ意味ないじゃないか。
足の感覚がない。特に、右足。
先程必死に止血してくれたけど、もう動かないのだろうか。
だんだん頭も使えなくなってきた。
なんか急に飛べねぇかな!?(IQ2)(必死)
『あの!何か無いですかね!アドレナリンがドバッて感じのやつ!』
「大丈夫か菖蒲!?頼むからじっとしてくれ!?」
「___おい!」
『!』
声のする方に目を向ければ、何かが投げられた。
建物の間、太陽から影になる場所から。
『愈史郎くん、これは……』
「足が動かないんだろう!一時的ではあるが身体の筋肉を騙せる薬だ!」
『あなたが神か!注射します!!!』
テンパっていて彼の注意説明は右から左に流れていっていた。
動かせないということはそれが限界ということだから、その限界を超えたらもう足は一生動かないとか何とか………めちゃくちゃバッチリ聞こえてたわ。
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リナ(プロフ) - ゆぅあ(o・ω・o)さん» 一気読みありがとうございます〜!!完結間近ですが最後までよろしくお願いします!頑張ります……! (2020年11月28日 15時) (レス) id: cb61b31578 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぅあ(o・ω・o)(プロフ) - 昨日このシリーズの小説を見つけたのですが、はちゃめちゃに面白くて今日読破しました!これからも頑張ってください!!! (2020年11月28日 10時) (レス) id: f45915f976 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リナ | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2020年8月29日 14時