検索窓
今日:13 hit、昨日:9 hit、合計:17,222 hit

第318話 未来の譚 ページ40

「それじゃ、俺らは帰るわな。会えたらまた」

「元気でな!」

「ありがとうございました!」
『絶対会いに行きますから!また今度!』


きっちりキャラメルも受け取ってくれた。
後藤さんは懲りずに狙いの隠仲間にプレゼントするのかな。(失礼)

「……そっか。菖蒲も、ちゃんと道が見つかったみたいで良かった」

『混乱させたし戸惑わせちゃってごめんね。三人にも、あと蝶屋敷の子達にも後で伝えるよ。』

「出発は?いつになるんだ?」

『結構すぐだよ。明日か明後日には』

「そうか。……菖蒲とも、お別れかぁ」



彼とはかなり長い間の仲となったわけだが。
寂しそうな声。実際、俺も寂しかった。


『絶対また会いに行くからね。君たちのお家にも、結局行けてないから。必ずお邪魔させてもらいます』

「……そうだな。そうだと嬉しい。家族にも、紹介したいよ」

『(……こういうとこで誤解が生まれんだろうなぁ)』


「あ、そうだ。手紙が届いていた。えぇと……佐藤さん?という人から」


白い封筒には、達筆な字が記されている。俺の名前と、最終決戦で共に戦った彼の名だ。

内容は俺の体調を心配するもの、あと、楸さんや榊の事も少し。彼も元気そうで良かった。



『終わり、かぁ』

「……」

『寂しいけど、嬉しいね。鬼殺隊が終わるのは、何となく、もっと先だと思ってたから』


長きに渡る戦いを、この隣にいる、彼が終わらせてくれたこと。
俺は本当に凄い場面を目撃したよ。



『、わ』

「ごっ、ごめん菖蒲。何だか急に、涙が出てきて、誤解しないで欲しいんだが、変な意味ではなく抱擁したくなってだな……!」

『うん、あんまり動揺してると逆に勘違いされるんだよ、こういうのはね。今から俺が君のお兄ちゃんするからわんわん泣いてくれ』


わしゃわしゃと雑に頭を撫でる。
犬扱いではない。確かに彼は鼻が利くし、つい先程わんわん泣いてくれと言ったが、ワンワン鳴いてくれとは言ってないので。


『ありがとう。素敵な旅をありがとう、俺が変われたのは間違いなく君のおかげだ。』

「……っう、……うぅ………」

『この世界を旅して、色んなものを目にして。さらに先に進んだら。……物語を書こう、素敵な旅の話を』





『勇敢で真っ直ぐで心優しい、少年の話を書こう。褪せる事なく続いていく、未来の話を』




それから、少しして。
戻った三人を加えてまたいつもみたいに笑いあって。

当たり前に過した日々の最後の一日が、___終わろうとしていた。

第319話 進む道は旅の道→←第317話 キャラメルの箱の角は結構痛い



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (43 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
56人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 男主 , リナ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

リナ(プロフ) - ゆぅあ(o・ω・o)さん» 一気読みありがとうございます〜!!完結間近ですが最後までよろしくお願いします!頑張ります……! (2020年11月28日 15時) (レス) id: cb61b31578 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぅあ(o・ω・o)(プロフ) - 昨日このシリーズの小説を見つけたのですが、はちゃめちゃに面白くて今日読破しました!これからも頑張ってください!!! (2020年11月28日 10時) (レス) id: f45915f976 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:リナ | 作者ホームページ:http://uranai  
作成日時:2020年8月29日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。