第318話 未来の譚 ページ40
「それじゃ、俺らは帰るわな。会えたらまた」
「元気でな!」
「ありがとうございました!」
『絶対会いに行きますから!また今度!』
きっちりキャラメルも受け取ってくれた。
後藤さんは懲りずに狙いの隠仲間にプレゼントするのかな。(失礼)
「……そっか。菖蒲も、ちゃんと道が見つかったみたいで良かった」
『混乱させたし戸惑わせちゃってごめんね。三人にも、あと蝶屋敷の子達にも後で伝えるよ。』
「出発は?いつになるんだ?」
『結構すぐだよ。明日か明後日には』
「そうか。……菖蒲とも、お別れかぁ」
彼とはかなり長い間の仲となったわけだが。
寂しそうな声。実際、俺も寂しかった。
『絶対また会いに行くからね。君たちのお家にも、結局行けてないから。必ずお邪魔させてもらいます』
「……そうだな。そうだと嬉しい。家族にも、紹介したいよ」
『(……こういうとこで誤解が生まれんだろうなぁ)』
「あ、そうだ。手紙が届いていた。えぇと……佐藤さん?という人から」
白い封筒には、達筆な字が記されている。俺の名前と、最終決戦で共に戦った彼の名だ。
内容は俺の体調を心配するもの、あと、楸さんや榊の事も少し。彼も元気そうで良かった。
『終わり、かぁ』
「……」
『寂しいけど、嬉しいね。鬼殺隊が終わるのは、何となく、もっと先だと思ってたから』
長きに渡る戦いを、この隣にいる、彼が終わらせてくれたこと。
俺は本当に凄い場面を目撃したよ。
『、わ』
「ごっ、ごめん菖蒲。何だか急に、涙が出てきて、誤解しないで欲しいんだが、変な意味ではなく抱擁したくなってだな……!」
『うん、あんまり動揺してると逆に勘違いされるんだよ、こういうのはね。今から俺が君のお兄ちゃんするからわんわん泣いてくれ』
わしゃわしゃと雑に頭を撫でる。
犬扱いではない。確かに彼は鼻が利くし、つい先程わんわん泣いてくれと言ったが、ワンワン鳴いてくれとは言ってないので。
『ありがとう。素敵な旅をありがとう、俺が変われたのは間違いなく君のおかげだ。』
「……っう、……うぅ………」
『この世界を旅して、色んなものを目にして。さらに先に進んだら。……物語を書こう、素敵な旅の話を』
『勇敢で真っ直ぐで心優しい、少年の話を書こう。褪せる事なく続いていく、未来の話を』
それから、少しして。
戻った三人を加えてまたいつもみたいに笑いあって。
当たり前に過した日々の最後の一日が、___終わろうとしていた。
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リナ(プロフ) - ゆぅあ(o・ω・o)さん» 一気読みありがとうございます〜!!完結間近ですが最後までよろしくお願いします!頑張ります……! (2020年11月28日 15時) (レス) id: cb61b31578 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぅあ(o・ω・o)(プロフ) - 昨日このシリーズの小説を見つけたのですが、はちゃめちゃに面白くて今日読破しました!これからも頑張ってください!!! (2020年11月28日 10時) (レス) id: f45915f976 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リナ | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2020年8月29日 14時