第314話 どうか、前へ ページ36
『おぉ!おぉ〜!!凄いですね不死川さん!これは完全に乙女ゲームのスチルになりますね!!こうやって女の子落としてくんですね!!』
「何言ってるか分かんねぇがバカにしてんだろォお前……」
ただでさえ目つきが悪いというのに、さらに睨まれてしまうが何故か全く怖くなかった。
この人が丸くなったというのがあるのかもしれない。
『よいしょっと。助かりました、ありがとうございます!』
「俺も配慮が足りてなかったな。悪い」
『いえいえ。……』
どこか申し訳なさそうな表情の不死川さんをじっと見つめていれば、視線に気がついたのか、彼は眉をひそめた。
「何だァ?」
『大したことでは無いんですけど。……』
「……?」
『……少し込み入った話をしてもいいですか?失礼にあたると思うんですけど』
「俺もお前には無礼なことをした、別に構わねぇが」
傷つけてしまうかもしれない、が。
俺でなければ聞けないような話だと思う。
『玄弥くんとは、話せましたか』
「……」
『俺は、尾上楸の弟なので。同じ弟として、彼のことをそれなりに気にしてました。彼に直接的な何かはしてあげられてないんで、微々たる気配りでしょうけど』
ほんの少し、居心地が悪そうに。
でも良かった、不機嫌とまではいかない。
今更この人の機嫌を気にするつもりは無いけれど、出来るなら関係を悪くしたくないし。
「散々傷つけちまったのにな。結局守りきってやれなかった。かけてやれる言葉もあったはずだった」
『……』
鬼狩りは、みんなこうだな。
俺も案外似通った所があるのだろうか。それにしても、この人はなかなかだが。
『質問に答えろい!!』
「うぉ、」
今度は俺が胸倉を掴む番。
今のセリフ、フォントは江戸文字で決まりだな。(キメ顔)
『話!!しました!?出来てなくてもアレだ、お前は弟じゃねェ……とか言い張ったりしませんでした!?』
「今挟んだの俺の真似じゃねぇだろうなァ……」
『エッ、違いますぅ』
「(コイツ……)」
パッと手を離せば、不死川さんは小さくため息をついてから答えた。
「弟だ、とは言った。でも俺は……」
『ならば良し。わざわざ自分を下げるのは何の得でもないですよ。って、俺が言えたことじゃないけど。』
「……」
『彼の最後の言葉も、引き摺らない程度に胸に留めておいてやってくださいよ。何言ったかは知んないけど、まぁお互いブラコンだし貴方のこと言ったんでしょ』
迷いのあった瞳を、彼は丸くした。
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リナ(プロフ) - ゆぅあ(o・ω・o)さん» 一気読みありがとうございます〜!!完結間近ですが最後までよろしくお願いします!頑張ります……! (2020年11月28日 15時) (レス) id: cb61b31578 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぅあ(o・ω・o)(プロフ) - 昨日このシリーズの小説を見つけたのですが、はちゃめちゃに面白くて今日読破しました!これからも頑張ってください!!! (2020年11月28日 10時) (レス) id: f45915f976 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リナ | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2020年8月29日 14時