第309話 何気ない夢 ページ31
❁⃘*.ﾟ
『ひーさーぎーさん！！おはよ！』
「……ん、おはよ……元気だねぇ菖蒲、走ってきた？」
『ちゃんと言われた通り、修行内容はこなしてますよ。あんな痛い思いもうしたくないし』
これは、大正時代に来てすぐの修行中の夢だろうか。
夢だと認識できていることに安堵しつつも、どこか虚しさを覚える。
「昨日は任務で帰宅が遅くなってね。直ぐに朝餉を用意するよ」
『……よく考えたら貴方、鬼殺隊？の隊員なんですもんね。忙しいなら別にご飯はいいですよ？数日食べんでも俺は余裕ですし』
「駄目だよ。君の体は君が思ってる以上に軟弱だし、それに……尽くしてこそだからね」
『何が？』
「んー、保護者？」
確かに見た目は子供だが、俺の中身は23歳だ。この時の楸さんだって、それは知ってたはず。
きっとこの言葉は、護り人として、という意味だったのだろう。
『まぁ、アンタがいいならいいですけど。楸さんのご飯美味しいし。彼女いんの？(失礼)』
「意中の女性なら居ないよ。今までそういった感情を持ち合わせたこともないな」
『マジで！？俺なんか告られたら満更でも無くなって付き合ったけど何か違うって振られまくって……結局俺も自分から恋愛したことなかったな……？？』
「あはは、菖蒲は案外、相手を見つけたら一直線だと思うけれど」
『そうっすかね……』
今思えばこの人、めちゃくちゃ現代の言葉遣いに対応出来てるな……？？
スポドリとかは流石に知らなかったけど、あれだろうか、父の中身が入れ替わったタイミングとかにも遭遇してたんだろうか。
味噌汁を喉に通して、炊きたての白米を口に入れる。
温かいご飯に頬を緩ませれば、楸さんはそれを嬉しそうに見つめていて。
『食べないんですか？』
「うん、目の前で食べないことが決まりだからね」
『何の？』
「保護者」
『保護者何者だよ……』
これも、きっと。
『ならせめて水くらい飲んだら？それか……あ、キャラメル。どーぞ』
「………そうだね、そもそも、そこまで掟に従う必要も無いんだけれど。これは俺なりの、決意なのかな」
『……？』
受け取ったキャラメルを見つめながら、彼はつぶやく。
『そういえば、何でそんなにキャラメルを持ってるんです？』
「……そう、だなぁ」
やはり動じない笑みから、ほんの少し切なげな声で呟いた。
「好物だから、だよ」
……そうだ、だけど＿＿
(あの人は、確か＿＿＿そこまで好きじゃない、とか言ってたっけ……)
第310話 また逢いましょう→←第308話 さようならの連続
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 56人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リナ(プロフ) - ゆぅあ(o・ω・o)さん» 一気読みありがとうございます〜！！完結間近ですが最後までよろしくお願いします！頑張ります……！ (2020年11月28日 15時) (
レス) id: cb61b31578 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぅあ(o・ω・o)(プロフ) - 昨日このシリーズの小説を見つけたのですが、はちゃめちゃに面白くて今日読破しました！これからも頑張ってください！！！ (2020年11月28日 10時) (レス) id: f45915f976 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：リナ | 作者ホームページ：http://uranai
作成日時：2020年8月29日 14時
