第308話 さようならの連続 ページ30
「菖蒲。死んだ奴の、死んだ意味はどうやって出来ると思う?意味のある死とは何だ?」
腕が緩められ、どこか遠くを見たまま天元さんは呟いた。
まるで、俺が求める正解を答えると、確信してるみたいだった。
『死んだ人の意味を作るのは、生きている人です。それが繋がって、連なって、出来上がるから』
『意味の無い死なんて、無いです』
そうだよな。
いつもよりほんの少ししんみりとした、切ない笑顔。
わしゃわしゃと頭を撫でられて、どうしようもなく胸が痛くなった。
俺だって、最初から知ってる答えじゃなかった。
見つけたのは、たくさんの人の死に触れたからだ。
俺だって、意味をもらう側だったかもしれない。
『天元さん、幸せになってくださいね』
「……」
『楸さんの分の幸せ、俺が半分貰うので、もう半分は天元さんが好きに使ってください』
「それだと求婚みたいになってんぞ」
『貴方のような夫はお求めじゃないです』
「おい」
ありがとうとかごめんとか、そんな言葉じゃ安すぎるくらい。
重くて濃い、言い表せない何かが渦巻いていた。
でもそれは暗いものじゃなくて、寧ろ、少しずつ彩られていく鮮やかなもので。
「じゃあな。」
その頬に、光が差した。
❁⃘*.゚
❁⃘*.゚
『あ、雀くん』
「チュン!」
『そっか、君ともお別れだね』
指に留まった雀くんは、ピョンピョンと飛び跳ねる。
マシーンと化していた君が懐かしいよ。(今もその気になったらマシーンになるよね君)
『実家の親御さんにたくさん親孝行するんだよ。仕送りだけ貰うとかマジで有り得ねぇからな。実家暮らししてた俺のセリフじゃないけど』
「チュン??????」
雀くん困惑しすぎて語尾にクエスチョンマークが渋滞してるよ大丈夫か。(お前のせいです)
雀のクエスチョンマークって何だよ。(お前のせいです)
『俺の訳わかんない言動にも着いてきてくれてありがとね。割と見放されてた気もするけど』
「チュン!チュン!」
『うん、そうだね。分かんないけど』
「チュン!」
なんとなく、ブレないなお前的なことを言われている気がする。(遠い目)
優しく頭を撫でてやって、ニコリと笑みを向けた。
『最後までありがとうね、相棒』
雀くんは手のひらに何かを置いてから、飛んだ。
「チュン!」
『(ありがとう、……だ)』
今のは、わかった。
手のひらに触れる、藤の花のお守りを握りしめて。
去りゆく背中を見送った。
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リナ(プロフ) - ゆぅあ(o・ω・o)さん» 一気読みありがとうございます〜!!完結間近ですが最後までよろしくお願いします!頑張ります……! (2020年11月28日 15時) (レス) id: cb61b31578 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぅあ(o・ω・o)(プロフ) - 昨日このシリーズの小説を見つけたのですが、はちゃめちゃに面白くて今日読破しました!これからも頑張ってください!!! (2020年11月28日 10時) (レス) id: f45915f976 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リナ | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2020年8月29日 14時