検索窓
今日:5 hit、昨日:9 hit、合計:17,214 hit

第307話 数えきれない感謝 ページ29

❁⃘*.゚



『……あの、天元さん』

「あ?」

『(だからガラが悪ぃんだよな)』


話しかけられた時の返事ではないだろそれ!!
それは一旦置いておいて。(切り替えの速さは天下一品)


『お礼が言いたかったんです。たぶん、色んな分野で助けてもらったという点では天元さんが一番なので』

「なんか照れるな……」

『照れてもらって結構。まず、ぼっちの楸さんのお友達になってくれてありがとうございます』

「一つ目がそれかよ」


だってあの人柱の中でも謎に嫌われてるんだもん。
物好きな天元さんくらいしか友達になってくれなかったよ、きっと。



『……それから。あの人が信じてくれた俺を、信じてくれてありがとうございます』


いつの日か、天元さんにかけてもらった言葉だった。
俺は全く信用されてなかった。
無力だし、自分勝手だし、たぶん、生き残ったのが楸さんではなく俺だったから。

護られるだけの家の者だったから。



『やっと証明できた。楸さんが俺に繋いでくれたものも、貴方があの時、榊との戦いを俺に任せてくれたことも、間違いじゃなかったって証明できた』

『俺は死にませんでした。この血を必要な時まで途絶えさせず、ちゃんと活用出来ました。御館様も、楸さんも、天元さんも、裏切らずに済みました』


『………俺に託してくれて、ありがとうございました』



深々と、頭を下げた。

あぁ、目の奥がツンとする。
喉の奥がギュッと締まる。

楸さんが託したのは、この人じゃなく俺だった。
それはきっと悔しかったし、守れなかったことも、悔しかった。


でも、貴方の覚悟ごと俺は榊と対峙した。



そして全てを、終わらせることが出来た。





『、っわ』



いつの日かと同じように胸筋でいっぱいの景色。
あの日とほとんど変わらない固さに苦笑する。
それから、頭上に振る声を聞く。



「すげぇ奴だよ、お前は」

「本当に悔しかった、あいつの任務、元々同行するつもりだったんだ」

『………え、』



顔を見上げようとするも、何故か強く締められて見れなかった。
ほんの少し、声が震えていた。


「別任務が入ってな。お前なら大丈夫だろ、なんて言って話したのが別れになった。あいつの因縁だったとか、そんなことにも気が付かずに」


「後悔ばっかりしてたよ。俺がいれば、あいつが死ぬことは無かった」





「もっと意味のある場所で死なせてやりたかったなんて、バカみてぇなことも考えたかな」





意味。
その言葉を、脳内で反芻する。

第308話 さようならの連続→←第306話 保護者



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (43 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
56人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 男主 , リナ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

リナ(プロフ) - ゆぅあ(o・ω・o)さん» 一気読みありがとうございます〜!!完結間近ですが最後までよろしくお願いします!頑張ります……! (2020年11月28日 15時) (レス) id: cb61b31578 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぅあ(o・ω・o)(プロフ) - 昨日このシリーズの小説を見つけたのですが、はちゃめちゃに面白くて今日読破しました!これからも頑張ってください!!! (2020年11月28日 10時) (レス) id: f45915f976 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:リナ | 作者ホームページ:http://uranai  
作成日時:2020年8月29日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。