検索窓
今日:1 hit、昨日:27 hit、合計:17,201 hit

第296話 動かなくなったものは ページ18

❁⃘*.゚




アオイさんが部屋を去ってから、彼女の言葉通り外に出る。
窓からじゃ遠くて見えづらい、桜の木を見に行くために。

部屋に置かれた松葉杖を使って、今までの倍の時間をかけて外に出た。

『……やっぱ空気、ちょっと違うな』


部屋の中とじゃ違う。
ちょっとだけ気分転換になるかもしれない。

桜の木の下にたどり着いて、何となしに上を見上げた。
現代じゃ通勤電車で桜並木を見かけたくらいのものだったけど。





「おーーーーーい!!!」



桜の木綺麗だなー。
やっぱ花見はしたいよなぁ。久々にお酒飲みたい。缶ビール飲みたい。こっちじゃ未成年だからダメか。そもそも缶ビールとか無いか?


「おい!無視すんな」

『あれ、幻聴じゃない』

「菖蒲!外出ていいの!?元気になったの!?」

『我常にベリベリ元気』

「こりゃ重症だな」


何でだよ。
真顔で言うから余計に気味悪いとか言うなよ。
さっきまでのシリアスモードどこ行ったんだよ!!(結局それ)


『足以外に悪いところ見えます?ほんとに元気なんですよ、周りが心配しすぎなだけ』

「頭おかしくなってんだろーが」

『言い方。顔と言ってくれ』

「顔はいつも通り綺麗な顔だわ」

『やめろ』


よりにもよって俺を見る目が若干ズレてるこの2人に遭遇するか。
適当にあしらって戻ろうかと思ったけど、………思った、けど。



『確かに、頭おかしくなってら』

「いや、冗談だぞ?それで気に病むなよ……?」

『俺の精神は豆腐か。……それなりに合ってるけど。そうじゃなくて』


視線を桜の木に戻した。
単純に、この人たち相手に真剣な話をするのがむず痒かっただけ。


『わざわざ避ける必要、ないんですよ。あんた達は面倒だけど、でも、避けて部屋に戻るほどじゃないのに』

「「……」」

『今、さっさと部屋に戻ろうって思っちゃったから。つまりは1人になりたいってことなんだろうなって』




『ほんと、おかしくなってんな』




あーあ。言ってしまった。
ダメだなぁ。
正直、今の自分を元に戻すすべが分からない。


「ま、これは俺がどうこうしてやれるもんじゃねぇわ。俺は楸とは親友だったが、お前とは違うしな」

『……』


ふい、と、彼に視線をやる。
すました顔。腹立つ。(何故)


「お前をどうにかすんのは、まぁ最終的にはお前なんだろうけど。その手を引くのはお前じゃねぇ、俺でもねぇ」


『………じゃあ、誰』



「その辺にいるヤツら。」




そう言ってから、彼は蝶屋敷を出た。

第297話 己の理解は及ばず→←第295話 来訪者



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (43 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
56人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 男主 , リナ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

リナ(プロフ) - ゆぅあ(o・ω・o)さん» 一気読みありがとうございます〜!!完結間近ですが最後までよろしくお願いします!頑張ります……! (2020年11月28日 15時) (レス) id: cb61b31578 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぅあ(o・ω・o)(プロフ) - 昨日このシリーズの小説を見つけたのですが、はちゃめちゃに面白くて今日読破しました!これからも頑張ってください!!! (2020年11月28日 10時) (レス) id: f45915f976 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:リナ | 作者ホームページ:http://uranai  
作成日時:2020年8月29日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。