第163話 生かそうとする記憶 ページ23
『梛血……?何を、』
「無知、無能、無力。お前の価値はただ一つその血だけ。それも人として生きている限り無価値に等しいけどな」
百を超える茨が襲いかかる。
技を使って交わして、それでも捌ききれなくて。
頬や腹部、様々な箇所に茨が掠る。
茨に粗い棘があるせいでただ貫通するより全然痛い。これは刃毀れしまくりの伊之助くんの刀と同じ原理だろうか。
「血を流せば梛の力が無力化する。人は傷もすぐ治らねぇ。そんな状態で俺と対等に戦えると思ってんのか?ただ対の血を持ってるってだけで?」
榊は嘲笑う。
ああ、くそ。言い返せない。
力で証明すれば良いのだろうか、それでもこいつより俺が弱いことなんて、ずっと前から知ってる事だ。
傷が痛い。
でも、動きが鈍ったのはそのせいじゃない。
何かが身体中を巡るようだ。何か、何かが侵食して。
『(……あの人が、……楸さんが)』
勝てなかった相手。
榊に尾上の血があったからとはいえ、それでもそれ以上の戦力差があったのだろう。
進め。止まるな。その方向が、前か後ろかすらわからなくても。
『………はーっ、……はーっ……』
「血鬼術______
『……ざ、けんな……、』
刀を突き刺して、なんとか立っている状態。
動けないというのは間違いではなかった。
こいつは、毒を使うのか。
茨に毒が塗りたくられているのかも。傷を受けた時点でアウト……それでも緩めの毒なら、呼吸で巡りを……
『が……ッ、』
「本当はもっと遊ぶつもりだったんだけどな。尾上の何も受け継げてねぇお前と戦ったって暇つぶしにすらなりゃしねぇ。」
冷めた瞳でこちらを見つめる。
腹部に貫通した茨から、毒が送り込まれていく感覚。
ドサ、と音がする。
あ、俺が倒れたのか。
感覚が麻痺してきて、息苦しい。乱すな、呼吸を乱すな。
言い聞かせているのに、チラチラと弱音が垣間見えてしまう。
このままじゃ死ぬ、俺は本当に、約束破りに____
“ _____ 僕の 代わりに 生きて”
“ 君は鬼に殺されないくらいに強くなりなさい。”
“ 後は頼んだよ。”
“ ……ただ一言。…………進め、と”
脳裏に過った、大切な記憶が。
俺をまだ諦めさせはしないらしい。
身体は動かない、こんな状況で。
俺はどう抗えばいい??
“……四葉のクローバー。”
この声は、確か。
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リナ(プロフ) - トゥルピカさん» コメントありがとうございます!!描いてるうちにシリアスめちゃくちゃ増やしちゃう癖あるんでギャグ沢山ぶち込みたいと思ってます!嬉しいお言葉ありがとうございます! (2019年12月6日 7時) (レス) id: 4837a99168 (このIDを非表示/違反報告)
トゥルピカ(プロフ) - わお、おもしろい!です!なんか、こういうの好きですあのー、シリアスもギャグも入ってるの。うん、とりあえずすこです (2019年12月5日 22時) (レス) id: fdf27c346b (このIDを非表示/違反報告)
リナ(プロフ) - いおりさん» コメントありがとうございます〜!!そう言っていただけると嬉しいです…!更新頑張ります! (2019年11月17日 17時) (レス) id: 4837a99168 (このIDを非表示/違反報告)
いおり - すごい面白い、、、。続きが気になります。これからもお体に気をつけて更新頑張っていただければと思います。 (2019年11月17日 16時) (レス) id: 6ba09b020b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リナ | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2019年11月16日 12時