検索窓
今日:20 hit、昨日:2 hit、合計:56,274 hit

第163話 生かそうとする記憶 ページ23

『梛血……?何を、』

「無知、無能、無力。お前の価値はただ一つその血だけ。それも人として生きている限り無価値に等しいけどな」


百を超える茨が襲いかかる。
技を使って交わして、それでも捌ききれなくて。

頬や腹部、様々な箇所に茨が掠る。
茨に粗い棘があるせいでただ貫通するより全然痛い。これは刃毀れしまくりの伊之助くんの刀と同じ原理だろうか。


「血を流せば梛の力が無力化する。人は傷もすぐ治らねぇ。そんな状態で俺と対等に戦えると思ってんのか?ただ対の血を持ってるってだけで?」


榊は嘲笑う。
ああ、くそ。言い返せない。
力で証明すれば良いのだろうか、それでもこいつより俺が弱いことなんて、ずっと前から知ってる事だ。

傷が痛い。
でも、動きが鈍ったのはそのせいじゃない。
何かが身体中を巡るようだ。何か、何かが侵食して。


『(……あの人が、……楸さんが)』


勝てなかった相手。
榊に尾上の血があったからとはいえ、それでもそれ以上の戦力差があったのだろう。




進め。止まるな。その方向が、前か後ろかすらわからなくても。



『………はーっ、……はーっ……』


「血鬼術______朔月茨(さくげついばら)。殺す気はねぇから緩めの毒だが……そんでもお前程度じゃすぐ死ぬだろ。もう動けねぇな」

『……ざ、けんな……、』


刀を突き刺して、なんとか立っている状態。
動けないというのは間違いではなかった。

こいつは、毒を使うのか。
茨に毒が塗りたくられているのかも。傷を受けた時点でアウト……それでも緩めの毒なら、呼吸で巡りを……


『が……ッ、』

「本当はもっと遊ぶつもりだったんだけどな。尾上の何も受け継げてねぇお前と戦ったって暇つぶしにすらなりゃしねぇ。」


冷めた瞳でこちらを見つめる。
腹部に貫通した茨から、毒が送り込まれていく感覚。


ドサ、と音がする。
あ、俺が倒れたのか。
感覚が麻痺してきて、息苦しい。乱すな、呼吸を乱すな。

言い聞かせているのに、チラチラと弱音が垣間見えてしまう。
このままじゃ死ぬ、俺は本当に、約束破りに____



“ _____ 僕の 代わりに 生きて”


“ 君は鬼に殺されないくらいに強くなりなさい。”


“ 後は頼んだよ。”




“ ……ただ一言。…………進め、と”




脳裏に過った、大切な記憶が。
俺をまだ諦めさせはしないらしい。
身体は動かない、こんな状況で。

俺はどう抗えばいい??



“……四葉のクローバー。”



この声は、確か。

第164話 死闘→←第162話 茨が追って



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (42 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
73人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 男主 , リナ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

リナ(プロフ) - トゥルピカさん» コメントありがとうございます!!描いてるうちにシリアスめちゃくちゃ増やしちゃう癖あるんでギャグ沢山ぶち込みたいと思ってます!嬉しいお言葉ありがとうございます! (2019年12月6日 7時) (レス) id: 4837a99168 (このIDを非表示/違反報告)
トゥルピカ(プロフ) - わお、おもしろい!です!なんか、こういうの好きですあのー、シリアスもギャグも入ってるの。うん、とりあえずすこです (2019年12月5日 22時) (レス) id: fdf27c346b (このIDを非表示/違反報告)
リナ(プロフ) - いおりさん» コメントありがとうございます〜!!そう言っていただけると嬉しいです…!更新頑張ります! (2019年11月17日 17時) (レス) id: 4837a99168 (このIDを非表示/違反報告)
いおり - すごい面白い、、、。続きが気になります。これからもお体に気をつけて更新頑張っていただければと思います。 (2019年11月17日 16時) (レス) id: 6ba09b020b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:リナ | 作者ホームページ:http://uranai  
作成日時:2019年11月16日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。