第103話 逃げる勇気 ページ10
「理由を聞いても?」
『………俺の師範が、結構ヤバい任務に行ってて』
「やばい?」
『あ、何?高難易度??……えっと………強い鬼と対峙することになりまして』
「はぁ」
不思議そうな顔でこちらを見つめるアオイさん。
ヤバいの乱用は現代人の社会問題だもんな。語彙力皆無だもんな。
『それがその……ちょっと因縁の相手?みたいな??だからあの人、ここを出ていく時に別れの挨拶なんてしやがったんですよ』
「……それは、そんな顔にもなりますね。」
『ですよね??俺ムカついて、キャラメルの箱あの人の頭にぶん投げて……そういやちょうど角の部分当たってたな』
「痛そうですね……?」
今更だが、これだけ話しておいて、しかもそこまで年齢差はないはずなんだけど なんで敬語なんだろ。
アオイさんは大体の人に敬語だからともかく、俺は完全につられてるよなぁ。
『……まぁ、そんな感じで、変な空気出してきたから急に不安になってきて……あ、でも、アオイさんに話したんでちょっと楽になりました。ありがとう。』
「それは良かったです。……役に立てることがあって」
ス、と目を逸らして小さく呟いたアオイさん。
悪いな、我妻くん程じゃないが俺も結構地獄耳なんだよ。
『アオイさんが面倒見てくれたおかげで、他のみんなもすっごい強くなりましたし、役に立ちまくりですよ!』
「そうですか。……でも、あなたも」
『俺?』
彼女は俺から目を逸らして、出発日和な青空を見上げた。どこか、清々しい顔だ。
「選別をマグレで通過して、でも、それ以降恐ろしくて戦場に出れないんです。……炭治郎さんは、私の意思も戦場に持っていくと言ってくれました」
『天然熱血野郎じゃん……』
「……あなたは私のことを、腰抜けと思いますか。」
揺らぎの無い瞳は、未だにこちらを捉えない。
でも、迷いとか恐れとか、そういうものは感じ取れなくて。
『……貴方に似た人、知ってます』
「え、」
『その人、逃げちゃったんですよ。しかもそれに引け目を感じていて。……けど、逃げるのって凄くないですか?』
「そう、ですか?」
戸惑った彼女は再び俺を見た。
俺の中で、あやめが見る力を使っていることを悟る。
『人には向き不向きがあるから、逃げるのだって一つの選択肢です。逃げるのって勇気が要りますよ。しかも逃げた先で、自分に出来ることを見つけたって言うんだから、アオイさんは凄すぎです。』
「な……」
俺は にこりと、笑った。
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リナ(プロフ) - モノクロさん» コメントありがとうございます!!泣いていただけたら本望です!()ギャグ混じえつつ急にシリアスぶっ込みますので温度差にお気をつけください!そして夜に寝ましょう!不規則生活!!() (2019年10月28日 10時) (レス) id: bdf7177f23 (このIDを非表示/違反報告)
モノクロ - こんなん…泣く、泣いてしまう(号泣)菖蒲くんもあやめくんも大好きですなんなら全員好きですけどねッ!!今後の展開が楽しみで昼しか寝れないなぁ!← (2019年10月28日 1時) (レス) id: 6f839a2af7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リナ | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2019年10月16日 17時