第135話 怒涛の ページ42
「あ、……苦し、……ッ」
斬らないと。
この子を斬らないと。
苦しそうだ。たぶん、俺のせいで。
でも、身体が動かない。
砂に阻まれているせいもあるし、それに、さっきから身体が重くて思うように動かないのだ。
_____ザン、
……と。
いとも容易く、その頸を切り落としたのは……言わずもがな冨岡さんだ。
「……なん、で………わたし、ばかり……」
『………、っ』
鬼の瞳から、涙がこぼれ落ちる。
冨岡さんは相変わらずの無表情でそれを見ている。
「素敵だ、って……言って、くれたのに」
「泥だらけ、ボロボロの………こんな不細工な、……わたし、を……」
「だから………もっと、綺麗に……、なろう、……って、……ッ」
綺麗になりたくて、鬼になったのか。
顔立ちを変えて、彼女の想う誰かに認めてもらいたくて。
……けど、今、彼女は独りだ。
それはきっと。
『きれい、だよ』
「………え、」
『そのままでも、きっと……君は綺麗だ』
「………あ、あああ……、っ」
鬼は、どこかで道を間違えてしまうのだ。
ここにこうして頸を斬られたのは、もしかしたら、一歩間違えれば俺だったかもしれない。
だから俺は、鬼を心の底から恨むことは、憎むことは出来ない。
鬼は、なんて悲しい生き物なんだろうか。
風に吹かれて、灰も砂も消えていく。
「尾上、無事か」
『……全く…』
しゃがんで俺の肩に手を貸した冨岡さん。
俺は全体重を彼に預ける。
………マジでなんだこの熱!?!?!?
琥珀の力を使う時みたいに気を失うわけでもない、でもその時に並ぶかそれ以上くらいに頭ガンガン熱ひどい身体だりぃ状態なんだが!!!
こんなの気を失った方がマシじゃねぇか!!
「……梛、と言っていた」
『はい……?(ここで語るの?)』
「梛は尾上家と天屯家の家紋に関係していたはずだ。」
『そうなんすか……なぎ……、へぇ……。』
辛すぎてIQ低下しまくりだった。
今の俺のIQどれくらいだろ。3か4か……うーん、微妙なライン。
「って!何 悠長に会話してんですか!!菖蒲お前またボロボロじゃねーか!」
『後藤さんが1匹……後藤さんが2匹……』
「助数詞違ぇよ!!」
『突っ込むポイントが違ぇよ……』
なんでボロボロの隊員に突っ込ませるんだよ。
いや〜後藤さん天然だな〜〜!!
ところで意識を失う様子がないんだが!
ここで琥珀の力を使って気を失おうとしても余計に熱と頭痛が襲ってくるんだろうな……!(半泣き)
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リナ(プロフ) - モノクロさん» コメントありがとうございます!!泣いていただけたら本望です!()ギャグ混じえつつ急にシリアスぶっ込みますので温度差にお気をつけください!そして夜に寝ましょう!不規則生活!!() (2019年10月28日 10時) (レス) id: bdf7177f23 (このIDを非表示/違反報告)
モノクロ - こんなん…泣く、泣いてしまう(号泣)菖蒲くんもあやめくんも大好きですなんなら全員好きですけどねッ!!今後の展開が楽しみで昼しか寝れないなぁ!← (2019年10月28日 1時) (レス) id: 6f839a2af7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リナ | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2019年10月16日 17時