第134話 覚醒 ページ41
「外れだ！次！」
『まっ、待って！数が多……っ、』
「後ろだ！」
『！』
「血鬼術＿＿＿＿＿＿
やべぇ、と思ったのは一瞬。
襲いかかってきていた一体が崩れ落ち、その分身があった場所に砂で城のようなものが作り出された。
『(……何で？)』
数メートル前には、目を丸くしたままこちらを見つめる冨岡さん。
さらにその奥に、たった1人、分身も無く本体の鬼が立っていた。
「私、椛っていうの」
『へ？もみじ、さん？何？？』
「……その城はね、私の手で操れるの。砂を圧縮して貴方を窒息死させることもできる。………だから動かないでね、水柱さん？」
再び、下衆な笑み。
……冨岡さんは俺を足でまといとは認識しなかった。
ただ、怪我をさせたくなくて待機するように言った。
なのに何だ、今の俺は完全に足でまといじゃないか。
姿勢正しくこちらへ歩いてくる椛さん、は、俺の目の前に来るとしゃがんで目線を合わせた。
「……やっぱり、面影がある」
『(…………面影、俺を殺さなかった理由、これは)』
頭をフル回転させた。
そして辿り着いたのは、人だった頃の記憶、だ。
鬼になる前の、大切だった誰か。
「貴方は素敵。きっと私を守ってくれる。そうでしょ？私はお姫様。そして貴方が、今度こそ……私の、」
『王子様、じゃないよ』
恍惚な瞳で俺の頬を包んだ彼女の手を、ガシ、と掴んだ。
長い爪に、ムラなく塗られた爪紅。
化粧もされてる。……人みたいに、綺麗だ。
「……貴方も違うって言うの」
『……』
「私のことを素敵だって！！そう言ってくれたのに！！綺麗になろうとしたのに！！何で！！」
「尾上！」
砂の城が崩れ落ちる。
窒息死だっけ。したらやばいな。
でも、身体が動かない。
地面の砂に両足を固定されていて、これを斬らないと＿＿＿＿……
＿＿＿＿＿いい加減に使ってくれる？その力はもう、君のものだよ
俺だから、使える技。
刀が無くても、鬼相手なら、俺なら。
「泥だらけの私を……素敵だって……っ！！」
『弐ノ
全身に、熱が回った。
身体中の血液が沸騰するみたいだ。
息苦しい、熱い。
突然自分を襲った不快感。
ふと目を上げれば、目の前の鬼の女の子が地面に倒れていた。
『(何が……、)』
「いﾞ………ッ、あ、ああっ！！助け………ｯ！！」
耳を突く叫び。
間違いなく、鬼からのものだ。
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リナ(プロフ) - モノクロさん» コメントありがとうございます！！泣いていただけたら本望です！()ギャグ混じえつつ急にシリアスぶっ込みますので温度差にお気をつけください！そして夜に寝ましょう！不規則生活！！() (2019年10月28日 10時) (
レス) id: bdf7177f23 (このIDを非表示/違反報告)
モノクロ - こんなん…泣く、泣いてしまう（号泣）菖蒲くんもあやめくんも大好きですなんなら全員好きですけどねッ！！今後の展開が楽しみで昼しか寝れないなぁ！← (2019年10月28日 1時) (レス) id: 6f839a2af7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リナ | 作者ホームページ：http://uranai
作成日時：2019年10月16日 17時
