第104話 道を進む覚悟 ページ11
「……まさか、ここで励まされるとは思いませんでした。あなたを励ますつもりで座ったのに」
そう言って洗濯カゴを持って立ち上がった彼女。
『……励ますつもりだったんですね』
「あ、違、」
『不器用だな〜』
「貴方に言われたくないです!」
このツンデレっぷりもあやめそっくりだな。癒される。俺のニヤニヤとした顔に不服そうな彼女は、呆れたようにため息をついた。
『よし、覚悟は出来ました。』
「……覚悟?」
『楸さんがどうなっても、笑顔でいる覚悟です。どちらにせよ、榊は俺が倒すので。』
歯を見せて笑う。
楸さん、あんたが立てまくった死亡フラグ、俺が折っても折り足りないならもう勝手にしてくれ。
それがあんたの覚悟だろ。
俺だって、あんたの道の続きを歩かない覚悟は出来たからさ。
『それじゃあアオイさん、お世話になりました。また怪我したらよろしくお願いします!』
「怪我する前提で言わないでください。……頑張ってください。」
お互い頭を下げあってから、入口へ向かう。
うん、大分吹っ切れた。
清々しい表情でそちらへ行けば、三人が瓢箪に息を吐いていた。……俺はやらなくていいのか。
「頑張れ頑張れ頑張れー!」
『ふぁいと〜!』
チビちゃんずはともかく、俺は完全にガヤだった。
そしてあっという間に瓢箪を割った三人。すげぇ。
『凄いな三人とも!そんな大きい瓢箪よく割れるね!』
「嫌味なの?君もっと前から割れてたんでしょ?」
『あれは偶然!絶対偶然!』
「なら、菖蒲さんも もう一度割られますか?」
『あっ大丈夫です』
チビちゃんず強いよ。その純粋で澄んだ眼でサラッと言われると心臓にくるんだよ。怯むんだよ。
「どうぞ!」
「ありがとう!」
『女子力!』
チビちゃんずがおにぎりを差し出してくれる。
どれも均等な大きさの、整った形の美味しそうなおにぎり。伊之助くんは遠慮もなく今食べ始める。
「今食うな!」
「いっぱい鬼を倒してくださいね!」
『……!』
「頑張るよ。」
『うん。……頑張ります!』
ここに来てよかった。めちゃくちゃ勇気が出た。
まぁ、ここで傷ついたことも……一人の男のせいであったわけだけど。
「だから食うなって言ってるだろ!」
「うるせぇ!」
『わ、もうほとんど無いじゃん。俺も貰っとこ』
「菖蒲も食べんの!?」
だって伊之助くん止めても食べるだろ。
そんなことをおにぎりが入ったままモゴモゴと言えば、我妻くんがまた騒ぎだす。うるせ。
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リナ(プロフ) - モノクロさん» コメントありがとうございます!!泣いていただけたら本望です!()ギャグ混じえつつ急にシリアスぶっ込みますので温度差にお気をつけください!そして夜に寝ましょう!不規則生活!!() (2019年10月28日 10時) (レス) id: bdf7177f23 (このIDを非表示/違反報告)
モノクロ - こんなん…泣く、泣いてしまう(号泣)菖蒲くんもあやめくんも大好きですなんなら全員好きですけどねッ!!今後の展開が楽しみで昼しか寝れないなぁ!← (2019年10月28日 1時) (レス) id: 6f839a2af7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リナ | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2019年10月16日 17時