ちょっとワケアリな新婚夫婦３

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朝に勇斗さんの前でそう約束してから10時間。ようやく放課後となり、今日は早めに上がらせてもらった。

『げほっ、げほっ！……はぁ、ダメだ…。』

既に頭痛薬、解熱鎮痛剤を服用し、今すぐ倒れそうな状態。
咳止めも飲んでおかないと電車で白い目を向けられてしまうな。

電車はグリーン車に乗った。
人が少ないからちょっと安心して指定されている席に座ると一気に脱力してしまう。

『……家着いたら勇斗さんに怒られちゃうなぁ。』

確かリビングのカレンダーに書かれたスケジュールだと……勇斗さんは午前中で仕事終わりだったはず。今は家に帰ってくつろいでいるところかな。

結婚してからも人気が衰えることはない勇斗さんだが、仕事の方はマネージャーさんが上手く調整してくれているらしく２人の時間は以前より多くなったと思う。

『……はやとさん…。』

スマホを開くと２つの指輪の写真。私たちの結婚指輪だ。写真フォルダを開いて、彼の専用フォルダを開く。
そこには２人で撮った写真は勿論、隠し撮り写真なんかも入っている。

これは、料理してる時の勇斗さん。

これは、ソファで台本読みながら寝落ちした勇斗さん。

これは、Twitterに上がってた満面の笑みの勇斗さん。笑顔が可愛すぎて３枚保存してる。



………待って、気持ち悪い。

体から、すぅ…と血の気が引いた。何かが胸まで迫り上がってくる感覚。とりあえず目を閉じて、ゆっくり息を吐く。

こんな状態で家まで帰れるのだろうか…。

一度意識してしまうと頭の中は"気持ち悪い"の一色で、指先が冷たくなっていくのが熱を持ったスマホを持っていることで顕著に分かる。

……………そうだ、スマホ。

ふと、手に持っているスマホに視線を落とした。





〈もしもし？どうしたの？〉

『…………はやとさんっ………』

突然掛けた電話なのに勇斗さんはちゃんと出てくれた。もしかしたら電話を待っていたのかもしれない。
私の弱々しい声に息を飲んだのが聞こえた。

〈A？………まだ電車の中？〉

『…、』

〈最寄り駅まで来られる？無理そうなら停車した駅で降りて。〉

『……あと、２駅、だから……。』

〈分かった。ホーム出たら近くの椅子座ってて。〉

『…はやとさん…。』

〈迎えに行くから。〉

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