ちょっとワケアリな新婚夫婦３

… ページ17

結局あの後、磯村さんはうちに泊まっていくことになった。

「おやすみ。」

『おやすみなさい。』

久々に美味しい夕飯を食べて、磯村さんとお話できて、仕事もちょっとだけ磯村さんが手伝ってくれて、磯村さんに抱き締められながらベッドに横になる。

何だか良い夢が見れそう。





翌朝。

「あ、そうだ。昨日の話で一個気になってたことがあって。」

『？』

「Aがつまらないって話。」

『…あぁ。』

そういえばそんな事も言われたっけ。

「俺からするとこんなに魅力的で、側に居たくなるくらい見てて飽きない子いないんだけど。」

『ふふ、物好きさんですね。』

「ほら、よく笑うし。」

……それは磯村さんの前だからでは、とは言わない。恥ずかしいから。

「照れ屋で、まっすぐで、恋愛初心者で、素直。」

『い…磯村さん……！』

「ま、生徒の前でそんな顔されて男子生徒に惚れられても困るからそこはそのままでも良いか。」

そう言いながら何故か私のクローゼットの扉に手を掛けた。

「開けていい？」

『？…どうぞ。』

そこには洋服が何着か掛けてあるだけ。

「……ふむ。メイク道具は？」

『え…ここのポーチの中と、そこの机の上にあるだけですけど。』

「ふむふむ。」

そして何かを考えるような素振りを見せた後に服を何着か手に取った。

「はい、これ着て。」

それだけ行って私に背を向ける。
え、ここで着替えるの！？
………とは言うものの時間もないので大人しく着替えた。

「着替えた？じゃあここ座って。」

テーブルの前にあるクッションを指差されて座ろうとすると、俺の方向いて座って、と言うので横向きに座る。

『え、何するつもりですか。』

「テーブルの上に並べられたもの見て察してるんじゃないの？」

………この家にあるコスメ全てと黒いポーチ。
多分黒いポーチは磯村さんのもの。

「今日は特別に、いっそんパウダーかけてあげる。」

…→←…

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す