プライバシー ページ18
仕事が終わって、今日は勇斗さんも早めに帰って来られるって言っていたしそのまま帰宅しよう、なんて考えながら歩いていた。
『…ん?』
家の近くで男性がウロウロしているのだ。思わず足を止める。
疑問に思いながら暫く距離を取って見ていると、あちらが私に気付いて近づいて来た。
「あのぉ……すみません。少し良いですか?」
『?、はい。』
「ここって磯村勇斗さんの家で間違いないですか?」
そう言って指差したのは間違いなく、私達の家だった。
『……貴方は?』
「あぁ、申し遅れました。私こういう者です。」
手渡された名刺から、小さな週刊誌の記者だということが分かった。
常日頃からマスクをしていて助かった。
自然に結んでいた髪を解いて少し首を振る。
なるべく顔を見られないようにするためだ。
『……すみません、今帰宅途中だったので一旦家に連絡入れますね。多分お話し長くなりそうですし。』
「それは申し訳ない!なるべく短く済ませますから!」
そう言う記者の前で手元が見えないよう注意しながらLINEを開いて素早く要件のみを打ち込んで送信した。
A家の前に記者
A私が妻だと気付いてなさそう
勇斗すぐ行く
勇斗そのまま待機
「このご近所の方?」
『はい、この先です。』
「ここに磯村勇斗が住んでるのは知ってる?」
『はい、噂で聞いたことは。』
「うんうん。結婚相手が一般人ってことでニュースになったんだけど。」
『存じています。』
「奥さんどんな人か分かる?」
『…』
ここで知らないと答えてしまうのは楽だけれど、勇斗さんの「そのまま待機」は恐らく彼が助けに来るまでの時間稼ぎをしろということ。そもそも記者がいては私も家に帰れないのだが。
『…そうですね、朝何度かお見かけしたことはあります。』
「おおっ!どんな人??綺麗??」
少し身を寄せて来た記者の胸ポケットから見えるのは、ボイスレコーダー。
『…そうですねぇ…いつもマスクしているので顔はよく見えません。』
「ふんふん、仲良さそう?」
『はい、とても。休日は何処か出掛けているみたいです。』
「あっ、そうなんだぁ………」
「………で?君がその"お嫁さん"ってわけだ。」
ニタリ、と笑って記者が首から下げていたカメラに手を掛けた。
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パピコの上の部分 - 私の勘違いでした、すいません! (2020年11月5日 23時) (レス) id: f7a6ef29b4 (このIDを非表示/違反報告)
パピコの上の部分 - こんばんわ初めまして!あの、磯村勇人くんの “と” は斗じゃなくて人ではないですか? (2020年11月5日 23時) (レス) id: f7a6ef29b4 (このIDを非表示/違反報告)
クレアのジョッキー(プロフ) - 親子丼さん» まさか認知されていた!?そうです!ありがとうございます、すごく嬉しいです!親子丼さんも適度に休みつつ頑張ってください!応援してます! (2020年8月26日 8時) (レス) id: 1f15e197e4 (このIDを非表示/違反報告)
親子丼(プロフ) - クレアのジョッキーさん» クレアのジョッキーさん!?え、「僕の彼女は…」の作者様ですよね!?いつも作品拝見させて頂いております!此方こそ神作品をありがとうございます!!! (2020年8月26日 7時) (レス) id: 72c92659fa (このIDを非表示/違反報告)
クレアのジョッキー(プロフ) - 神作品すぎませんか…!?めちゃくちゃ好きです!! (2020年8月25日 23時) (レス) id: 1f15e197e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:親子丼 | 作成日時:2020年8月20日 14時