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「 そういえばさ、
こないだAちゃんと話したで。」
レッスン後、ペットボトルの水を飲んでた俺に
廉が不意をついて言ってきた。
口からこぼれ落ちた水が
ひんやりと俺の服を濡らす。
「 おいおいおい(笑)きったな！ 」
「 …なんで会ったん？ 」
「 彼氏がな、二人で飲んでたらベロンベロンに酔っ払って。
良いタイミングで電話かかってきたから迎えに来てもらった。」
「 … 元気やった？ 」
「 おん。デビューおめでとうって言ってたで。」
「 …そ！ 」
Aと一緒にいる未来を捨てたからこそ
掴めたデビューへの道。
何かをつかむためには犠牲も必要なんだ、と
痛いくらい理解させられた。
俺にはAと付き合う資格も
幸せにする資格も
最初からなかったんだから。
彼氏が出来たぐらいで今更落ち込まなくてもええよな。
「 紫耀はさ、なんていうか…さ、後悔してんの？
あの時のこと。 」
Aを傷つけずに別れられるなら
そうしたかった。
でも、嫌われたかったんだ。
どうせならクソ男だと思われて消えたかったんだ。
「 なにいうてんの(笑)してへんって！」
「 ホンマに？ 」
「 してへん！ 」
Aの中で最低なはずな俺なのに
“おめでとう”なんて言葉
もったいなすぎる。
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作者名：シュガー
| 作成日時：2018年2月28日 23時
