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大晦日 ページ1





今日は12月31日、世間一般でいう大晦日である



年に一度のこの日、Aにはやってみたいことがあったのだ。



それは"誰かと一緒に"年を越すこと



今年こそはと、森に何度も何度も頼み込みポートマフィア傘下のマンションの一室でなら、と渋々ながら了承してくれたのだった




そして一緒に年を越す相手は…………





「太宰蜜柑食べてもいい?」

「いいよ、どれにする?」

「おい太宰、俺にもよこせ」

「あれ中也、蛞蝓が炬燵に入ったら干からびちゃうんじゃない?」

「ア"ァ"!?」





太宰治と中原中也である。



三人仲良く(?)炬燵に入り、テレビを見ながら蜜柑を食べている




テレビを滅多に見ることの出来ないAは、バラエティ番組を見て実に楽しそうに笑っている




一方の二人はそんなAの様子を表面上では微笑ましそうに見ているのだが………





「おいクソ太宰」

「なぁに蛞蝓君」

「手前そこ変われ」

「蛞蝓に変わる場所なんて無いよ」





二人の間にはバチバチと火花が散っている



普段なら互いの足を蹴り合う程度で済んだかもしれないが、今日は違う。




なんてったって、Aの隣なのだ




実はこの二人、Aに好意を寄せていると云っても過言ではない




更に云うと、中也にしてみれば数少ないAに触れられる機会なのだ。



思えばAはいつも太宰と一緒に居た。



ただでさえ俺はAの異能の関係で触れられないと云うのに太宰は、無効化能力をいい事にいつもAに触れていた




そしてAも自身に向けられている好意に気付いていないのか、嬉しそうに太宰に触れていた




今回ばかりは絶対に譲れねぇ!!





「ハッ、手前こそ鯖は鯖らしく水にでも浸かってたらどうだ?」

「えー私寒いから出たくなーい」

「気持ちわりぃ云い方してんじゃねーよ!良いからさっさと退け!」

「ちょっと!狭いって!」





おしくらまんじゅうのように互いを押し合う二人


しかし太宰も腐っても男、そう簡単に退かせられる相手では無かった




勝ち誇ったような笑みを浮かべる太宰を一睨みした後、中也は強行手段に出た





「よっ、A隣入るぞー」

「えっわっ」

「ちょっと中也!狭いでしょ!!」

「手前は黙ってろ!」





無理矢理ではあるが、Aの隣に滑り込むことに成功した




三人で入った炬燵はギュウギュウ。
二人が言い合いをしていた時Aが一言





「暖かいね〜」





Aの笑顔に勝てる者は居なかった

*→



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作者名:レイ | 作成日時:2019年1月16日 23時

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