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「酷い雨じゃ………」
窓ガラスが割れるのではないかという程に強く叩きつけられる雨と吹き荒れる風。
今日、ヨコハマにはバケツをひっくり返したような大雨が降っていた
この日ばかりは縁側に出ることも叶わない
自由に動き回ることの出来ない雨の日を少し煩わしく感じる者達は多いが、人間達のそんな気持ちに反して植物は喜んでいる(全てがそうとは限らないが)
人間でも植物でも、ましてや生者ですらないAからしてみれば何と思えばいいのやら……
しかし、昔は雨が降らず苦しんだ者達もいた。
ここはやはり感謝をすべきなのだろう
そう思い、全ての神の根源である大神様への感謝の祈りを捧げようと外に出たその時
「ん?あれは……」
視界に映ったのは、フラフラと千鳥足で此方に近づいてくる人の子の姿だった
長身で外套が体にピッタリと張り付いている人の子の姿は見るに耐えないもので、いつ風で吹き飛ばされても可笑しくないと思えた
こんな雨の日に出かけるなどという無謀なことをするのは一体はどこの誰だ、と近づこうと一歩踏み出す
「主は…!」
人の子の正体は、初対面にも関わらず私の名を知っていたあの不気味な男だった
暴風によりかき消されていても可笑しくない私の声をしっかりと拾ったのか、男はゆっくりと私の方を向いた
「A…!」
「ッ、こんな雨の日に一体何を!!」
同様を隠すために口を開いたAだったが、その言葉が言い終わるより前に男、もとい太宰は地面に倒れてしまった
「人の子よ!大丈夫か!?」
息もあり心臓も動いている
しかし、人の子の体には至る所に赤い線が走っており、怪我をしているのが一目でみてとれた
境内に倒れてしまった人の子を、ましてやこんな大雨の日に放っておくことなど出来るはずもない……
多少の不信感はあるが、Aは仕方なく太宰を神社の中へと運び込んだ
懐かしい匂いがする
花のような優しい暖かな香り。
最後にこれを感じたのは、一体いつだっただろうか_____
「A……」
「………」
名前を呼び、Aの元へと無意識に擦り寄る太宰の頭を撫でるAの手は、酷く優しかった
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レイ(プロフ) - ReiLeiさん» コメントありがとうございます!更新速度は蛞蝓以下ですが、これからもどうぞお付き合い下さい!! (2018年12月22日 22時) (レス) id: 5e06df6d00 (このIDを非表示/違反報告)
ReiLei(プロフ) - 良き!!!!! (2018年12月16日 3時) (レス) id: e65e94b2de (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 海月猫さん» コメントありがとうございます!これからもよりよい作品を目指して、頑張ります!! (2018年12月10日 23時) (レス) id: 5e06df6d00 (このIDを非表示/違反報告)
海月猫(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください! (2018年12月10日 22時) (レス) id: db1e8d80c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイ | 作成日時:2018年11月6日 23時