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私達神は人の子からの信仰、思いで存在を確立していると云っても過言ではない




人の子からの信仰が薄れれば私達の力は弱っていき、下手をすれば存在自体が消えてしまう。そんな危うい存在なのだ




また信仰が厚く知名度の高い神々は相当な力を蓄えており、性格も温厚な者達が多い




今回はそんな私の友人(友神?)に会いに行った時の話をしよう





「邪魔するぞ」

「あ、Aちゃん!久しぶり〜!!」

「その女子高生のような話し方を辞めんか水神(すいじん)…………いや、今は(すい)と呼ぶべきか?」

「Aちゃんは相変わらずだね……お爺さん元気?」

「爺さんはまだ床にふせたままじゃ。流石にこうも長引くと心配になるのじゃが……」

「そっか……」





彼女の様子を見て水は全てを悟ってしまったのだろう。


もう分かっているのだと




互いに一度閉口した後、それ以上深い詮索をすることも無く水は私を中に上げた























「また随分と散らかっておるのぉ……」

「えへへ、皆がよく供物をくれるからさ……大事に取ってあるんだ!」

「にしても、これは……」





眼前に広がるのは散らかり放題の部屋。
書きかけの巻物に毛先がボサボサになり毛が抜け落ちた筆




山積みになった何かの書籍や脱ぎ散らかされた袴や下着たち………




それとは反対に、木製の伝統工芸品らしき箱や金属製の缶の箱には、様々な年齢層から贈られたのであろう物が丁寧に仕舞われていた





「人の子の気持ちを大切にするのはいいが、身の回りの事ぐらいしっかりせんか!」

「そんなお母さんみたいなこと云わないでよ〜!」

「まったく……」





床に転がるものを避けながら脱ぎ散らかされた服を拾おうとした時、書きかけの巻物の内容が目に入った





「ん?これは…」

「嗚呼、それは人の子達から貰った物をまとめたリストだよ」





そこには達筆な字で【優太、どんぐり3個 夏美、花2輪…………】と文字が描き連ねられていた




人の子にしてみれば価値の無いものに見えるのかもしれないが、私達にしてみれば何にも変えがたい宝物なのだ





「……暖かな光が宿っている。よき贈り物じゃ」

「でしょ?お陰で僕もこの先100年は力を発揮出来そうだよ!」

「だと良いのじゃが……」





こうして今日も日が沈み、夜が訪れる


今宵は奴と飲み明かそう、供物の中に良き酒があった


それ位、許してくれるじゃろう?

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レイ(プロフ) - ReiLeiさん» コメントありがとうございます!更新速度は蛞蝓以下ですが、これからもどうぞお付き合い下さい!! (2018年12月22日 22時) (レス) id: 5e06df6d00 (このIDを非表示/違反報告)
ReiLei(プロフ) - 良き!!!!! (2018年12月16日 3時) (レス) id: e65e94b2de (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 海月猫さん» コメントありがとうございます!これからもよりよい作品を目指して、頑張ります!! (2018年12月10日 23時) (レス) id: 5e06df6d00 (このIDを非表示/違反報告)
海月猫(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください! (2018年12月10日 22時) (レス) id: db1e8d80c6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:レイ | 作成日時:2018年11月6日 23時

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