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「そんで、真戸の奴が…」
彼の愚痴を聞く私。私はアオギリに所属していて
彼は私達の敵の捜査官だなんて、誰が思うだろうか
彼が好きだから、捜査官だろうと彼は殺さない
彼は、きっと。私が喰種だと知ったら殺すだろう
私のことを好きじゃないから。それだと語弊が有る
好きだけど、特別じゃない。親しみや、憧れの類いだ
痛み悲しみは当然あったけれど、彼が好きだったから
彼が笑ってくれていることが何より私の幸せだったから
例え彼が私の隣にいないとしても、笑ってくれているなら
「身体面でやって使えなくなったら嫌だから
精神的にやるのはAが一番上手いでしょ?」
聞いていないけれど適当に返事をする
20区梟討伐作戦以来、彼に会えていない
参加しなかった私には詳しいことは分からないが
彼はその作戦に参加して、何かがあったのでは、と
そんな下らない不安を振り払うように素早く歩を進めた
電気も、窓すら無い薄暗くて錆臭い部屋へ入る
部屋の中で座り込む見慣れない白髪を懐かしく感じた
( ……せいどうくん?)
充血で変色した黒い爪。乾いた血がこびり付いた白髪
死人を連想させるような青白い肌。酷く痩せ細った身体
随分と変わってしまっていたけれど、間違い無く彼だった
ここで悪魔の誘惑のような考えが脳を支配する
捜査官を殺してしまえ。そして喰種の彼を創りだせ
そうしたら私だけの物になる筈だと、いうような考え
生唾を呑み込んで彼に近付き、いつかのように顔を覗く
モニター越しに彼を見て画面に手を滑らせる
これでもう、心臓を蝕むような痛みも無くなった
誰にも触れられない、触れさせない。私の、私だけの
(血に、まみれてる)
これ、じゃ、違う気がする。思わず私は呟いた
奥の奥にこっそり閉じ込めてた私が、可笑しいと
私が欲しかったものはこれじゃない。そう、囁いた
「笑って、る、よ、ね?」
(私が好きだった政道くんは)
もう彼は返り血塗れだ。黒い服で良かった
そんな下らない事を考えているのも間違い泣く私で
違う、違うの。裏切るつもりなんてなかった。只私は
「だって彼、楽しそうだもの」
(私が隣にいたかった政道くんは)
「それも、私の傍。すぐ、近く、だし」
(不器用で、苦しんで、前に進もうとしてた)
(優しい)
(どちらが、何が、狂っていたのだろう)
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まっちゃ - ああああもっと速く見つけたかった!!タケさんもっと増やして欲しいです…!! (2019年6月7日 18時) (レス) id: 0fdc1c93f1 (このIDを非表示/違反報告)
糖分 - 平子さんホント好き…もっと増やしてくれてもいいんですよ(( (2019年1月4日 0時) (レス) id: e217bd5dbf (このIDを非表示/違反報告)
アホ毛50% - お二人様コメントありがとうございます!此方の作品は完結しておりますのでmix berryという作品にリクエスト頂けたら嬉しいです!! (2016年2月20日 7時) (レス) id: c7c039e431 (このIDを非表示/違反報告)
謳憂(うたう)(プロフ) - 金木くん(白)増やして欲しいです!! (2016年2月18日 13時) (レス) id: 67760cdd1a (このIDを非表示/違反報告)
ユウ - 郡さんマジ綺麗増やしてくださいお願いします (2015年8月13日 16時) (レス) id: b9de54a5ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ウズメ&アホ毛50% | 作者ホームページ:なし
作成日時:2015年2月23日 18時