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あれから一週間程経った。ずっと病院生活だ
出された食事を流して戻して、テレビを聴き流す

東京、二十区で大規模なな喰種討伐作戦が実施
そんなニュースが私の耳に届いた気がしたけれど
気にしなくて良い。無関係だと、何度も繰り返した
彼じゃない、また会える、と。自分を騙すように何度も


「ちょ、ちょっと今面会は!」


なんて、酷く慌てた看護婦さんの声が聞こえる
面会遮絶者に会おうとしてる人がいるのだろうか
私もそんな気分にはなれないから、遮絶状態だけれど

周りの患者の迷惑も考えてほしいと思っていた瞬間
私のベッドのカーテンが勢い良く開いて白髪が見えた
けれどそれは彼じゃなくて。もっと見慣れた、あの人の


「やぁ、A」

「………貴将、兄さん…」




看護婦さんに、彼は良いと告げて二人きりになった
何の用だろうと考えていたら、彼がゆっくり口を開く


「喰種に襲われたんだね。外見に特徴は?マスクとか」


ほぼ無意識に、仇、とるの?と溢していた
当然だと彼が素早く言うから、つい自嘲的に笑った

私の幼馴染み、CCGの死神である有馬貴将
彼を兄のように慕っていて、兄さんと呼んでいるし
私を妹のように可愛がっていてくれていたのだけれど

兄さん、髪染めないの?。脈絡無くそう言えば
急にどうしたの。驚いたような顔をした兄さんは
自分の髪を摘まんで、この色が嫌いかと訊いてきた
脳裏に浮かんでしまった彼。好き、似てると、呟いた

そう言えば当たり前だけれど誰にかと訊かれて
入院中全く動かしていなかった細い腕を伸ばして
ふわりと兄さんの白髪を撫でる。少し違う、構わない

指の腹をするりと通る感触が心地良い

兄さんは擽ったそうに少し目を細めたけれど
不思議そうな顔をしながらも大人しくしていた


「私のお腹に穴を空けた、優しい人」

「…どうして泣いてるの、それにその喰種は」


言葉を遮り、頭貸してと震えながら呟けば
兄さんはベッドに座っていた椅子を引いて近付け
私に言われるがままに体を低くして、頭を差し出す

最初は撫でるだけで済んでいたのだけれど
暫くして泣きそうになって、兄さんを抱き締めた


「…好き。好きだよ、カネキ、くん………」


数分経って、兄さんはごめんと消えそうに呟く
何のことかも分からないまま、好きだよと言った
私の涙が彼によく似た髪をぽつりぽつりと汚していて



(時が進む度、消えて往く)


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まっちゃ - ああああもっと速く見つけたかった!!タケさんもっと増やして欲しいです…!! (2019年6月7日 18時) (レス) id: 0fdc1c93f1 (このIDを非表示/違反報告)
糖分 - 平子さんホント好き…もっと増やしてくれてもいいんですよ(( (2019年1月4日 0時) (レス) id: e217bd5dbf (このIDを非表示/違反報告)
アホ毛50% - お二人様コメントありがとうございます!此方の作品は完結しておりますのでmix berryという作品にリクエスト頂けたら嬉しいです!! (2016年2月20日 7時) (レス) id: c7c039e431 (このIDを非表示/違反報告)
謳憂(うたう)(プロフ) - 金木くん(白)増やして欲しいです!! (2016年2月18日 13時) (レス) id: 67760cdd1a (このIDを非表示/違反報告)
ユウ - 郡さんマジ綺麗増やしてくださいお願いします (2015年8月13日 16時) (レス) id: b9de54a5ae (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ウズメ&アホ毛50% | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2015年2月23日 18時

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