【東京喰種】色んなアナタと【短編集】

被狼／【宇井郡】 ページ12

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東A捜査官歴三年上等捜査官成り立ては
自らの所属班班長、宇井郡準特等と所謂恋人である

Aが熱烈なアプレーチを繰り返した為に
告白ノイローゼ気味になっていた宇井が言った
私と同じ。いや、上等捜査官になれたら付き合う
その言葉を聞いたAは突然功績をぐんと伸ばし
上等捜査官入りを果たし、めでたく恋人となったのだ


「宇井さん、好きです」

「人がいるところはダメ」


宇井は恥ずかしがり屋なのか(分からないが)
人目のある場所では愛すら囁くことも許されずに
これじゃあ恋人になる前と変わらないじゃないかと

雑魚も大量に倒して、必死にAレートだって倒した
頑張った割に面白くなくて子供のように口を尖らせる

彼に全てを捧げる覚悟も準備もして付き合ったのに
不貞腐れた勢いでAがそう独り言のように言うと
微笑みを浮かべた宇井に告げられた余りに残酷な真実
山のような書類を指差しながら。これ、今日中なんだよ

Aは額に脂汗を浮かばせ、静かに表情ごと固まった

残業決定だね、と。宇井が落ち着きながら呟いた
Aに宇井は私も残るから安心していいよと笑う
数時間立ち机に伏せながら宇井に完成した書類を渡す


「はい、ありがとう」


回らぬ頭で時計を見ればとうに十時を過ぎていて
もう皆帰っただろうなどと思いながら欠伸をすると
その欠伸が終わり口を閉じた瞬間宇井と唇が重なった

Aは訳が分からず混乱すら出来ず立ち尽くす
仮にも此処は仕事場で。今のが、ファーストキスで
いくらなんでも誰かに見られている可能性だってある
何より何故宇井があんな行動を取って、笑っているのか

宇井さん。呟いたAの手首を宇井が握る
ぐいっと一気に引き寄せられて、怖い程近付いた

息がかかるような距離でも宇井は離れようとせず
それどころかAの腰をもう片手で更に引き寄せ
ぞわぞわとする、厭らしいような声でAに囁いた


「ねぇ、Aちゃん」

「私我慢してたんだよ?怖がらせたくないから
でもさ。準備も覚悟も全部、出来てるんでしょう?」


これから私の家来て。そう言われてへたり込む
聞いたことの無い色気の有る声に腰が抜けてしまう
そんなAに宇井はより一層妖しげに笑みを深くして



(大きなお口。私に愛を囁いた)


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