傷を抱えた私達は (ページ38)

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目を覚ました時、左手を握られていて

ベットにぽすっと顔を押し付けて寝ている姿がうっすらと見えたから

『草川くん…？』

そう名前を呼ぶと

2「ごめんね。拓弥じゃなくて」

ゆっくりと顔を上げ手を離しながら苦笑いをしている海がいた

海と二人きり

その事実を頭が理解した途端、喉の奥がひゅっと鳴ったが屋上の時みたいに怯えたりはしなかった

なぜならば"大丈夫"というように、ふわりと草川くんに頭を撫でられていた時の安心する気持ちがよみがえってきて

取り乱さず冷静でいられた

例え草川くんが目の前にいなくても、私の心の支えになってるんだなと実感した

『えっと、、海はなぜここに？』

体育の授業は終わっていたとしても、まだ授業は終わってないのに

2「拓弥に怒られたんだ。お前は本当にAを見ていたのか？って」

『見ていた…？』

2「そう。俺が見ていたのはAじゃなくてAを好きな自分だったんだなって気付かされたんだ」

『そんなこと！』

2「なくはないんだよ。稜雅と付き合ったとしても俺はAが好きだった。そのくせAをちゃんと見てなかったなんて笑えるよな」

被せ気味に話してきた海は笑っているけど目は悲しそう

というか、私のこと好きだったなんて初耳なんですけど

2「許してもらえるとは思ってないし、八つ当たりのようにほかの女子に酷いこともしてきた。でも、心改めてまた1からやり直すからさ、俺とも幼なじみに戻ってくれないかな」

海と出かけたことがきっかけになったと言っても、海が私になにかしたわけじゃないんだから許すもなにもない

確かに女癖は悪かったけど、中学の時に関しては周りの女子が悪かったのもあるし

それに何より私も海とまた幼なじみ戻りたい

『うん。また1から幼なじみを始めよう』

そう言うと

2「ありがとう…」

と昔とちっとも変わらない優しい笑顔で微笑んだ

2「ところで、幼なじみってまた1から始めるもんなの？」

なんて私が思ったことと同じことを聞いてくるから思わず大爆笑してしまう

『これ、稜雅が言った言葉なんだけど私もそう思った(笑)』

2「稜雅かよw」