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家に着いて玄関の鍵を開けようとリュックを開き鍵を取り出していると
3「久しぶりA」
後ろから酷く懐かしい声が聞こえてゆっくり振り向く
『稜雅…』
家の門の前に制服姿で立っている稜雅がいた
中学と同じで学ランを着ているのに、凄く大人っぽく見える
3「いきなりごめん」
『いや、大丈夫だけど、どうしたの?』
家が近いからすれ違うことは何回かあったけどこうして話すのは約3年ぶり
3「話したいことがあって来たんだ」
話したいこと…?全く思いつかない
中学三年生だった私達は、お互いの間に出来てしまった溝をどうすることも出来ず自然消滅したから
今更話すことなんて…あるの?
『えっと…とりあえず家の中入る?』
3「いや、そんなにかからないからそこで聞いてほしいかな」
『あ、はい。』
玄関で、門を挟み向かい合う2人
近所の人に見られたら何やってるんだ?って話だよな
3「ずっと後悔してたんです。あの時なんでAの傍から離れたんだろうって」
いつも猫背で下を向いて歩いているくせに
ピシッと伸びた背筋とまっすぐこちらを射抜く視線にドキドキしてしまう
3「色んな"もしも"を考えたし、自分を責めたりもした。けれどAも前に進んでいるんだよって教えてくれた人たちがいて…」
まさか、稜雅も自分を責めているとは思わなくてびっくりした
そっか…私だけがあの出来事を抱えていたわけじゃなかったんだ
3「俺も前に進みたいなって思ったんだ。だからお願いがあります」
『私に出来ることならなんでも、どうぞ』
大切で大好きな幼なじみの願いだ
叶えられるならそりゃ叶えてあげたい
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作者名:蓮華 | 作成日時:2021年2月7日 17時